
「旭 今日打ち返せて楽しかった?」
「……楽し…かった」
「やる理由は
それで十分なんじゃないの?」
■2巻発売、完結しました。
運動が苦手な中学1年の旭は、思い切って入部したバレーボール部をたった1か月で辞めてしまう。頑張って大会に出て、みんなと一緒に勝って泣いて喜びたかった。けれど何も出来ず、気がつけば足手まといのような存在に見られていたのだ。そんなある日、バドミントン部の親友・羽海の試合の応援に行った所、メンバーに欠員が出て急遽代役で出場することになってしまう。絶対無理。そう思っていたのだが、羽海の指示により思わぬ素質を覗かせる…
バドミントン少女の、爽やか部活青春ストーリーです。そのままバドミントン部に入部した旭は、運動が苦手というハンデ(?)を背負いながらも、懸命に仲間と練習し、やがてその素質を開花させていきます。素質というのは、シャトルの行き先が読めるというもの。その素質を武器に、ヒロインは急成長。やがて親友の羽海を脅かす存在になっていきます。
内容は、最近の少女漫画では珍しい、ど真ん中のスポーツもの。恋愛要素よりも、友情やスポーツに関するシーンが多めで、非常に爽やかなストーリー構成です。

プレーシーンも結構本格的に描いてくる。
少女漫画は、否が応でも男の子との絡みを多めに取り、恋愛要素をふんだんに盛り込んでくるのがデフォ。しかしこの作品は、その要素が非常に薄い(というか、他の要素が濃い)です。あくまでメインはバドミントン。「英断」は言い過ぎかもしれませんが、それくらい読んだ時は驚きました。とはいえ恋愛要素が無いかと言えば、そうではありません。ひとつ上に、クールでカッコいい先輩がおり、部活を通して仲を深めていきます。ただ一緒にイベントをクリアして…という流れではなく、課題のクリアに懸命になっているヒロインに、そっとアドバイスをして支えてあげるような間柄。この距離感が、いかにもスポーツものって感じがしてGOOD。けれど2巻で完結…打ち切り?やはり最近の流れにはそぐわなかったのか…残念。
しっかし『バドガール』って、我々よりすこし上の世代であれば確実にこういうのを想像するよなぁ。さすがに現役のりぼん読者がそんなのを知っているわけ無いんですが、もし知らずに画像検索などかけたものなら…。スポーツとビールで、どっちも爽やかですけど…って上手くないですね、すみません。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→絵柄は少女マンガらしく若干ウルサいですが、ストーリー自体は読みやすいと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→少女マンガ版「スマッシュ」というと言い過ぎになってしまうか…。それでも十分「スポ魂ものです!」と胸を張れるような内容。りぼんでここまでやれば立派。
作品DATA
■著者:朝吹まり
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックス
■掲載誌:りぼん(平成20年6月号~11月号)
■全2巻
■価格:各400円+税
■購入する→Amazon