このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [名作ライブラリ] [読み切り/短編] 2009.01.18
ハルコイ末次由紀「ハルコイ」


「絶対ダメ」なんて
言えるくらい何度も失敗した?
のんちゃん向かっていった?



■末次由紀さんの復帰第1作。4編の読み切りが収録されています。
恋に奥手な保育士と、親心でその恋を応援する50歳の女性のあたたかな関係を描いた表題作「ハルコイ」。
バツイチの銀行員と付き合いながら、結婚を夢見る三十路ウェディングプランナーの心の揺れ動きを描く「指輪の片想い」。
恋愛至上主義だった派遣OLが、ひょんなことから流行らない町の小さな食堂を手伝い自分の居場所を見つけていく「美彩食堂」。
仕事に明け暮れる母を元気づけるため、小さな女の子が健気に奔走する「ななつの約束」。

 恋物語を正面から描いた作品は「指輪の片想い」ぐらいで、基本的に描いているのは人と人の繋がり・絆。どれも優しさとあたたかさに溢れた作品になっています。末次由紀さんというと、最近では百人一首を題材にした「ちはやふる」が話題になっていますが、巷ではまだまだ「スラムダンクとかをトレースした漫画家」ってイメージなんでしょうかね。トレース発覚以前もそれなりにクオリティの高い作品を発表していましたが、復帰後はそれらとは段違いというか…。きっかけがトレース事件というのはなんとも皮肉ですが、これによって完全に一皮むけた感があります。膿を出しきったんでしょうね。個人的に応援してあげたい作家さんです。というかよく講談社は手放さずにいたなぁ、と。それどころか復帰後は猛プッシュでサポート…それだけ作品に魅力があるのか、はたまた人望が厚いのか。


【オトコ向け度:☆    】
→それぞれ登場する女性達を、等身大で描く内容。一方男性は等身大で描かれているのかと言われると少々疑問。別にそれだけで判断してるわけじゃないのですが。基本的にはマンガ好きの女性が好んで読む作品でしょう。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→当然良い作品…なのですが、「ちはやふる」と比較するとここまでになってしまうかなぁ。


作品DATA
■著者:末次由紀
■出版社:講談社
■レーベル:コミックスビーラブ
■掲載誌:BE LOVE(2007年第6・13・20・22号)  
■全1巻
■定価:400円+税

Amazonで購入する

カテゴリ「BE・LOVE」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。