タアモ「初恋ロケット」
ロケットに乗ってやってくる
そこは月の国だった
そこにはアタシ
一人だけ。■SHOさんからオススメいただきました。短編6編を収録。
では表題作をご紹介。小さい時から時々見る月の夢は、桜にとって大好きで大切なもののひとつ。あんまり心地いいものだから、時々その世界を空想して遊んだりする。そこでは、宿題をしなさいって怒られることもない。だから好きな人なんていなくても大丈夫…なんて思っていたけど、隣の席の荒井のことがなんだか気になりはじめて…!?
読切りの名手・タアモ先生のデビュー作です。当時初めて読んだ時は結構衝撃でした。これはスゴい新人が現れたもんだ、と。その印象が強いのか、以降伸び悩みという印象が拭いきれませんでした。で、今回改めて読んでみたんですが、結構粗いんですよね。こんなに粗かったかというくらい、絵もストーリーも安定しないというか。なんとなく幻想のようなものを見ていたのかなぁ、なんて思いました。とはいえそれでも十分楽しめる程にキラリと光るものが随所に見られます。うん、やっぱスゴいね、この人は。

「バレンタインなんてなくなればいいのにどうしてあるんだろう」より。男の子が主人公のお話。それでもトキメキは据え置きでございます。
さて作風云々ですが、まず「ピュア」な恋心を描くのがスゴく上手いです。誰もが持っているようなありふれた恋心を、大事に大事に描き出し、物語に昇華させている感じ。その絵柄も相まって、とにかく可愛らしく、同時に切ないお話が展開されます。また描かれるのは現実世界のお話ですが、ファンタジックな要素を交えてお話を進めることがままあるので、よりピュアさが強調されて私たちの心に届いてきます。とにかく「かわいい」という言葉に全て集約されるんじゃないでしょうか。
そろそろ長期連載が欲しいところですね。ベツコミということで、宇佐美真紀先生と若干被る印象がありますが、彼女の飛躍が遅れているのはそこが原因ではないはず。もっとたくさんの人に知っていただきたい作家さんの一人です。
【オトコ向け度:☆☆☆ 】→可愛さでもうOKという方は。男の子が主人公のお話もありますが、基本的には少女マンガ的なストーリーが多いです。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】→デビュー作がこれってのはホントスゴいですよ。タアモ先生を知らないのであれば、入り口としてこの作品はオススメです。
■作者他作品レビュー
【名作ライブラリ】タアモ「お願い、せんせい」作品DATA■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:Betsukomi(2004年6月号,10月号),デラックスBetsukomi(2004年6月5日号,2005年2月5日号,4月5日号)
■全1巻
■価格:390円+税
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