このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [名作ライブラリ] [オススメ] [読み切り/短編] 2009.06.20
07148627.jpgタアモ「初恋ロケット」


ロケットに乗ってやってくる
そこは月の国だった
そこにはアタシ
一人だけ。



■SHOさんからオススメいただきました。短編6編を収録。
 では表題作をご紹介。小さい時から時々見る月の夢は、桜にとって大好きで大切なもののひとつ。あんまり心地いいものだから、時々その世界を空想して遊んだりする。そこでは、宿題をしなさいって怒られることもない。だから好きな人なんていなくても大丈夫…なんて思っていたけど、隣の席の荒井のことがなんだか気になりはじめて…!?

 読切りの名手・タアモ先生のデビュー作です。当時初めて読んだ時は結構衝撃でした。これはスゴい新人が現れたもんだ、と。その印象が強いのか、以降伸び悩みという印象が拭いきれませんでした。で、今回改めて読んでみたんですが、結構粗いんですよね。こんなに粗かったかというくらい、絵もストーリーも安定しないというか。なんとなく幻想のようなものを見ていたのかなぁ、なんて思いました。とはいえそれでも十分楽しめる程にキラリと光るものが随所に見られます。うん、やっぱスゴいね、この人は。


初恋ロケット
「バレンタインなんてなくなればいいのにどうしてあるんだろう」より。男の子が主人公のお話。それでもトキメキは据え置きでございます。


 さて作風云々ですが、まず「ピュア」な恋心を描くのがスゴく上手いです。誰もが持っているようなありふれた恋心を、大事に大事に描き出し、物語に昇華させている感じ。その絵柄も相まって、とにかく可愛らしく、同時に切ないお話が展開されます。また描かれるのは現実世界のお話ですが、ファンタジックな要素を交えてお話を進めることがままあるので、よりピュアさが強調されて私たちの心に届いてきます。とにかく「かわいい」という言葉に全て集約されるんじゃないでしょうか。
 
 そろそろ長期連載が欲しいところですね。ベツコミということで、宇佐美真紀先生と若干被る印象がありますが、彼女の飛躍が遅れているのはそこが原因ではないはず。もっとたくさんの人に知っていただきたい作家さんの一人です。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→可愛さでもうOKという方は。男の子が主人公のお話もありますが、基本的には少女マンガ的なストーリーが多いです。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→デビュー作がこれってのはホントスゴいですよ。タアモ先生を知らないのであれば、入り口としてこの作品はオススメです。

■作者他作品レビュー
【名作ライブラリ】タアモ「お願い、せんせい」

作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:Betsukomi(2004年6月号,10月号),デラックスBetsukomi(2004年6月5日号,2005年2月5日号,4月5日号)
■全1巻
■価格:390円+税

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「ベツコミ」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。