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Tag [読み切り/短編] [名作ライブラリ] 2009.06.23
07186527.jpgタアモ「吾輩は嫁である。」


好きな人のことを
好きって言われると
嬉しいなぁ



■こちらもSHOさんよりプッシュしていただきました。
 読み切り4作を収録。では、表題作をご紹介しましょう。松平菜子は女子高生でありながら、すでに嫁だったりする。お相手は、小説家の松平秀明。菜子は彼(旦那)のことを、ひーくんと呼んで、毎週末は彼の家に入り浸り。けれど仕事に集中している彼は、菜子のことを全然相手にしてくれない。これって結婚した意味あるの?どうしてひーくんは私と結婚したの?そんな感情を抱え、どこか満たされない毎日を送っていた所、クラスメイトの西郷くんが菜子に急接近してきて…!?
 
 タアモ先生の5冊目のコミックスです。のっけからスゴいタイトルの作品ですが、その通りの設定なのだから仕方がない。「~は俺の嫁!」とかいうフレーズを逆手に取ったかのようなタイトルですが、そういった意図はないと思います(当たり前か)。旦那さんと、なんとなく距離を感じるヒロインに、クラスメイトのイケメンが急接近、さて、嫁はどうする!?という流れ。出会ってすぐに結婚した彼女は、人並みのレンアイ経験がなく、西郷くんとのやりとりに新鮮さを見出します。それを旦那さんに伝えて嫉妬心を煽ってみるも、いまひとつ反応してもらえない…と。ま、最後どうなるかは読んでからのお楽しみですが、浮気だなんだっていうドロドロさは皆無ですので、ご安心を。


吾輩は嫁である1
こういう所で攻めてって良いと思うんですけどねぇ…。それだと個性が出ないのか。


 この他にも、最後の「ライラックの花言葉」を除いて、カップル同士の所属が異なる恋愛模様が描かれます。色々やってみようっていう、作者さんないし編集さんの意向なんでしょうかね。オーソドックスと言える「ライラックの花言葉」も、ベツコミ基準で言えば決してスタンダードじゃない元気で活発なヒロインですし。
 
 タアモ先生は何気にあとがきマンガも面白いです。自虐も好きですが、周囲の人間をいじるのが上手いというか。担当さんネタが結構好き。特にSさんは、毎度強烈な存在感を放ってきます。


吾輩は嫁である
担当Sさん。何かと取沙汰されがちな小学館の編集ですが、こういうの見てると、全てが悪いってワケではないのだろうな、と。実際どうなんでしょうか。


【オトコ向け度:☆☆   】
→「こどもサラダ」は男が主役なのでオススメできるのですが、他は総じて女性色が強めですかねぇ。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→「ラブメイト」みたいなシチュ(異性とシェアリング)は正直憧れますよね。えーと、小学館の読切りとして考えれば余裕でオススメできるレベルなのですが、タアモ先生基準で考えるとこの辺かな、と。面白いんですが、どうも色モノ多めな気がして。

■作者他作品レビュー
【名作ライブラリ】タアモ「お願い、せんせい」
【名作ライブラリ】タアモ「初恋ロケット」

作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ(2007年2月号),デラックスベツコミ(2005年夏の超!特大号,2007年春の超!特大号,初夏の超!特大号)
■全1巻
■価格:390円+税

■購入する→Amazonbk1

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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。