
咲坂芽亜「カワイイだけじゃモノ足りない!」(1)
チビアリス
しっかりプロデュースしろよ
■つぶれかけのモデル事務所を遺して両親が亡くなったのが2年前。藤川アリスは、以来事務所の社長として、ひとりで頑張ってきた。しかしもうそれも限界!所属モデルは誰もいなくなり、さらに多額の借金によってどうにもならない状態になってしまったのだ。こうなったら一世一代の賭けに出るしかない!過去に関わったことがある、トップモデルの雷斗を引き抜こうと、とあるオーディションに潜り込んだアリスだったが…!?
モデルではなく、モデル事務所の社長としてトップモデルをプロデュースし、さらには恋愛に発展させていくという一風変わったラブコメです。前作「ギャル華道」(→レビュー)では、ギャルと華道の融合という目新しいテーマをぶち上げてきて注目を浴びた咲坂先生ですが、今回はプロデュース業ですか。少女マンガでは基本的に、モデルや芸能人など、プロデュースされる側を描くことが多いので、この発想には驚きました。ましてや夢溢れる少女マンガ色の強い少コミでやってくるとは。

トラブルを持ち込むのは決まってヒロイン。このカットが定番となりそうで、なんとなく「ドラえもん」の面影を見た。
さて、普通であれば売れっ子モデルが弱小事務所に移籍するなんてことはまずないのですが、過去にアリスと彼の仲が良かったという設定があり、またアリスの父親が彼の面倒を見たことがあったため、恩義を感じての移籍という流れに。そこから二人三脚で事務所の建て直しを目指していきます。しかしながら大手事務所の圧力によりそうそう簡単に事は運びません。出演規制どころか、住む場所すら追われた雷斗は、事務所にアリスと寝泊りするように。サラッと描かれていますが、同居ものの要素もありと、結構美味しい展開でございます。これだけではなく、ふたりの過去についてもまだまだ掘り出していけそう。発想もさることながら、脇の固め方もばっちりです。一見すると、ありふれたラブコメですが、実際はかなり考えて作られたと思われる作品。少コミのレギュラー定着も納得です。
【オトコ向け度:☆ 】
→アイマスみたいなストーリーではないですよ。あくまで女の子のためのラブコメ。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→良く練りこまれて作られたのはわかるのですが、ノリそのものは私の好きな感じではないので。いかにも少コミ読者が喜びそうというかね。
作品DATA
■著者:咲坂芽亜
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:('09年第5号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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