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咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」
咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」(6)
一年前の今頃は
まだ出逢ってなかった
まだ知らなかった
なんにも知らなかったのに
今はもう
蓮くんばっかり■まだまだくっついたりとかいう展開には程遠いです。5巻では、蓮の彼女・麻由香が、彼の気持ちと自分の気持ちを考え、蓮に別れを告げました。6巻は、蓮がなんとなく麻由香への気持ちを引きずった状態からスタート。過去に縛られたまま、前に進もうとしない蓮。付き合っていた二人の気持ちを考えると、なかなか動いていけない仁菜子。仁菜子にアプローチしたいものの、空回りばかりの安堂。そんな足踏みばかりの3人を差し置いて、周囲の女子たちはフリーになった蓮を狙って怒涛のアプローチを展開。そんな中、クラスマッチ~バレンタインというイベントが連続し3人の関係に変化がみられ・・・る?
相変わらず前に進まない彼らですが、だからこそ恋心が丁寧に描かれる、とプラスに受け止めてみます。結構クサイ展開もあるものの、ときめいてるしいいんじゃない?やっぱいいよね、恋って。さて、そんな中、安堂のかませ犬オーラ(=へたれオーラ)がいよいよ加速して来ましたよ、というお話を。

かませ犬は、ライバルの状況如何で落ち込むことが多い。まさかこのモテキャラが、バレンタインを心から恨むようになるなんて誰が想像しただろう。
ヒロインを2人ないし3人の男が取り合う状況になると、最初はイイ男設定だったはずが、気づくとへたれ野郎になっていたというキャラが結構出てきます。ヒロインを想うピュアさを最大限押し出したあまり、結果へたれ男になってしまうのだと思うのですが、もう私、こういうキャラ大好きで。最近だと「僕等がいた」の竹内くんや、「Honey Hunt」(→
レビュー)のハルカ、「砂時計」の藤なんかもそうですかね。本命の男の子がへたれっぷりを発揮することも当然あるのですが、そういう場合は得てして付き合った後という時が多い気がします。こういうキャラは、一時付き合えることはあったとしても、絶対に本命にはなれないという悲しき宿命を背負っているのでございます。しかし情けなさが出るからこそ、より親しみやすい。だからせめて、作品内で報われない分(最後の最後でぽっと出のキャラをあてがわれたりする)、私たちで愛でてあげようじゃないですか。

これだって自信がないからこそ、彼女に意識してもらいたくて必死だからこそ出るフレーズですよ。今までの安堂だったら絶対に言わないはず。もう冗談に落とす余裕すらないというね。
しかしながら、他のかませ犬キャラに比べ、安堂はまだモテオーラを発揮するシーンが多いです。ちゃんと仁菜子争奪レースに参加させてもらえているというかね。普通であれば、もっと不遇にされてもおかしくないのに…と考えて気づいたのが、大樹の存在。彼が徹底的な3枚目として存在しているので、安堂がギリ2枚目ラインを保てているという。今はかわいい彼女と付き合って幸せいっぱいな大樹ですが、良く考えたら彼が最初の被害者。早かったとはいえ、適当なキャラをあてがわれてうやむやにされるというのは、まさにかませ犬の王道パターン。彼の場合それが比較的早い段階で発動したこと、さらに新しい彼女との恋模様についてキチンとお話が描かれたことが救いか。アフターケアがしっかりしていたのが良かったですね。果たして安堂はどうなるのかでしょうか。

実は大樹が一番この作品で労われるべき存在なのかもしれない。お幸せに・・・。
さて上のカットからも分かるとおり、2年に向けてクラス替えが行われました。主要人物は、大樹を除いて全員同じクラス。これからどんな展開が待っているのか、楽しみで仕方ありません。加えてラストでは、蓮の友人・裕にスポットが。とりあえず7巻は、彼に関するお話を中心に展開されそう。とはいえ本筋にはあまり関係なさそうな気がしてならない。ま、面白ければそれで良いんですけどね。
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