
泣ける理由なんて
ここにはないっていうのに…
今 幸せな分だけ
過去は相殺になったりしないのかな…
■4巻発売、完結しました。
月長館に暮らす、4人の男たち。高校生の誠とあげはに、大学生の政和、そして管理人のきよい。仲良く賑やかに、ごく普通に暮らしているように見える彼らだが、実は誰にも言えない秘密を共有している。それは、彼らが“吸血鬼”だということ。普通の仕事に就けない彼らは、警察の動かない事件を解決し、その報酬で生計を立てている。そして今日もまた、何やら仕事の依頼が入ってきたようで…!?
UHFですが、ドラマ化もされています(→公式HP)。キャストを見て驚いたのですが、戸松遙さんが出演なさってたんですね。『かんなぎ』のナギのおかげでイメージは完全に声優さん。しかしながら、女優としても活躍していたとは。
さて、ではこの作品についてのご説明を。まずあらまし紹介の印象から、「ヴァンパイアが事件を解決するサスペンス作品かな?」と思われる方がいるかもしれません。しかしながらそれは間違い。ジャンルを当てはめるなら、「家族もの」ですかね。身よりのないヴァンパイア達が、寄り添い助け合いながら生きていく。とても強い生き物でありながら、同時に脆さや傷も抱えて生きている、そんな存在として描かれるヴァンパイアは、人間以上に感情に敏感で、愛情に飢えています。そこには人間以上に人間らしい、温かな感情のやりとりが。サスペンス展開も、あくまで彼らの心理を映すために用いられる感じ。あ、なんだか感動重視の作品のような説明になってしまいましたが、ベースはコメディですよ。

こんな雰囲気。基本的には明るく楽しいコメディです。その中に時折、シリアスなシーンを差し込んでくる。そのバランス感が絶妙。
主人公は高校生の二人。暗い過去を持つ誠と、幼い頃から月長館で育ったあげは。二人ともとってもカワイイです。管理人のきよいは、なんとなく“ヴァンパイア”を思わせる心情描写が多いのですが、誠とあげはは、ヴァンパイアというよりは、普通の少年のような印象を与えます。多分作者さんは、ヴァンパイア=誠,あげはとして描いているのではなく、ヴァンパイア⊂誠,あげはのように描いているんじゃないかな、と。意図しているかはわかりませんが、私は少なからずそういった印象を受けました。政和は、うーん、よくわかんないです。なんというか、彼が一番フツーなんですよね。多分心がフツーなんだと思います。ただ全体のバランスを考えた時、彼のような存在は非常に重要。実際ファンも多いんじゃない?
【男性へ向けたガイド】
→基本的には腐属性のある方が喜ぶような作品。ただあからさまな描写があるわけではなく、描かれるやりとりも、疑似家族ものとしてはかなり正攻法の部類で、非常に印象は良いです。女キャラが多めに出てくれなくちゃやだ!なんて方には向かないと思いますが、そうでないのなら余裕で楽しめる部類。あと、ショタには最高かもね。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→最近ショタの気が出てきたような気がしてならない私。笑いと感動、ハラハラ感のバランスが良い作品です。
作品DATA
■著者:諏訪絢子
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B's-LOG コミックス
■掲載誌:B's-LOG
■全4巻
■購入する→Amazon