茶月みきこ「ふたり恋ふわり。」
近づきたい 話したい
一緒にいたい 触れあいたい
知りたい
甘いことも 苦いことも
ぜんぶ
はじめては きみとが いい
■16年間ずっと、恋とか好きとかそういうことに無縁で、男のコなんて遠い存在だと思ってた。そんな菜美に、最近初めて彼氏が出来た。サッカー部の川崎くん。付き合い始めるきっかけは、彼からの告白だったけど、今は自分のほうがもっと好きなんじゃないかと思ってる。近づきたい、話したい、一緒にいたい…けれど、すべてが初めての菜美は、何をしていいかわからなくて…!?
フツーの女の子の初恋を描いた、オーソドックスな物語です。ヒロインの菜美は、ソフトボール部に所属する高校一年生。色気より食い気だった彼女は、サッカー部の川崎くんからの告白をきっかけに、“恋”というものを意識しはじめます。少女マンガでサッカー部というと、どうしても積極的なイケメン男子を想像しがちですが、川崎くんは中の上ぐらいのルックスで、かつかなりウブなところはあるというキャラ設定。手を繫ぐどころか、お互い未だに名字にさん付けで呼び合っているような距離感だったります。そこからどう二人の距離を縮めていくか、その課程を描いていきます。
お互い遠慮しあう性質の持ち主。そのためなかなか進展せず、じれったい。ま、それが良いんですけどね。
「ChuChu」は、低年齢向けの「ちゃお」と中高生向けの「少コミ」「Cheese!」「ベツコミ」を結ぶという役目を担っており、両者の特色が入り混じったような作品ラインナップとなっています。作者さんとしては結構頭を悩ませるんじゃないでしょうかね。雑誌の売れ行き自体もあまり好調ではありませんし、未だに迷走を続けている状況。さてそんな迷走する雑誌「ChuChu」で連載された同作ですが、上手いこと中間層に合致した作品になっているんじゃないですかね。年齢設定は高校生ながら、やっていることは初心者中の初心者という感じのお話。キャラ設定自体は現実味がありますが、話の展開自体は少女マンガらしく、どこか夢に溢れた印象。「ちゃお」から各雑誌への橋渡し的役割をしっかり果たしていると思います。ただそれが逆に没個性化させてしまった要因になったかも。ストーリー自体は本当になんてことない流れ。こういう場合は、よほど心情描写が上手くない限りは、埋もれてしまいます。次はもうちょっと奇をてらった作品など描いてみたら面白いかも。
ヒロインの菜美はソフト部でファーストを守っているんですよね。実は私の妹がソフト部だったのですが、ファーストは皆逞しい子が多かったですね(笑)というかソフト部の女の子は全体的にガッチリ体型。特に下半身とかは、本当に逞しくて見とれてしまうほど。その辺まではリアルに描かないのだな、なんてどうでもいい事を考えてしまったのでした。
【男性へのガイド】
→特筆すべきところが特にないような、オーソドックスすぎる少女マンガ。相手役の川崎くんがちょっとヘタレ気味なところがあるので、感情移入できる人もいるかも。とはいえ基本男性には向かないでしょうね。
【私的お薦め度：☆☆ 】
→うーん、ワンパンチ欠ける印象。ChuChu読者ぐらいの年齢層を想定しているのですから、そういう意味では十分及第点ですけど。
作品DATA
■著者：茶月みこと
■出版社：小学館
■レーベル：ChuChuコミックス
■掲載誌：ChuChu(2008年10月号～12月号)
■全１巻
■価格：400円＋税
■購入する→Amazon
／
prev
