
誰ともつがいたくないなんて
それでも一人が淋しいなんて
■家政婦協会の家政婦・小田切里。185センチの高身長で、痩せ形。顔はお世辞にもキレイとは言えない…いや、むしろブス。年齢も、決して若くはない彼女だが、仕事の腕はピカイチで、作る料理は絶品。そして男からも女からもモテる。何にもとらわれず、ただ飄々と一人で生きる彼女、相当のくせ者で“タヌキ”だ!
さすらえる家政婦・里を描いた連作短編集です。小池田マヤ先生というと、4コマというイメージが強いと思うのですが、こちらは4コマではなく普通の作品です。ヒロインとなるのは、破天荒な家政婦・小田切里。スペックは上記の通りで、中身もかなりぶっ飛んでいます。不思議と男にも女にもモテて、合コンにいけば男が声をかけて来るし、家には妻子持ちの男が住み着いていたり、女友達まで彼女を求めて訪れて来るありさま。里自身も、男女構わず据え膳は食うタイプなので、結構その辺はゆるゆるです。

雇い主が相手だって遠慮しない。
読切りは3編収録されているのですが、1話目は家政婦協会のブラックリストに載っている家でのお話で、2話目は過去に里と関わりのある家でのお仕事を描いたお話、そして3話目は家政婦の仕事とは関係なく、彼女自身の存在・出自に関するお話が展開。異端の家政婦が世直ししていくといった物語ではなく、結局のところ描きたかったのは、里自身の存在意義・意識みたいな部分なのかも。小池田さん自身が同性愛者であることをカミングアウトされていますし、多少なりとも里と自分(とタヌキ)を重ね、「救い」を描いていこうという想いが感じられた気がしました。タヌキってのは、作品を読んでいただければわかります。
1話目の序~中盤みたいな感じに、破天荒な家政婦さんが問題のある家庭で暴れ回り、救いに繋げていくのかと思っていたので、2~3話目の流れには驚き。結局お前が救われたいんかい!と。読み始める際のスタンスが間違ってたのかもしれないです。この作品で救われる人は救われるんでしょうが、それ以外の人は完全に蚊帳の外という感じなので、評価に困る。個人的には同時収録の読切りの方が好みだったかも。
【男性へのガイド】
→読み手の自我に左右されるタイプのお話だと思うので、人によるとしか。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→未だに違和感みたいなものが残る。うーん、ハマる人にはハマるんでしょうが、フラットで見た時にオススメできるかというと、どうだろう。
作品DATA
■著者:小池田マヤ
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィールコミックス
■掲載誌:FEEL YOUNG(2001年12月号,2003年9月号,2004年6月号)
■全1巻
■価格:905円+税
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