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2009.07.12
07217145.jpg花梨エンターテイメント/野口芽衣「プリンセスナイトメア」(1)


哀れな娘に
せめて今は幸せな夢を
約束の日が訪れる
その日まで



■2巻発売。
 薄闇町にある聖ローザ学園定時制に通いだした美少女・リトル。その美しさから、噂は定時制に留まらず、学校中に響き渡る。そんな彼女といつも一緒にいるのが、兄でお目付役のラドウ、クラスメイトで、下僕と呼ばれている犬飼と、霊感少年で夜間部の生徒会長・真治。一見普通に見える彼らだが、実はとある秘密を抱えて生活している。リトルとラドウの正体はなんとヴァンパイア。犬飼もウェアウルフという狼男で、二人と共に行動している。「普通の女の子として青春を謳歌したい!」誕生日の時のリトルの願いから、普通の女の子として学校に通うようになったものの、リトルの平穏で楽しい学園生活を邪魔するように、次々とハンターや妖魔が現れはじめ!?
 
 PC乙女ゲーが原作となっている作品です。ちなみに原作のジャンルは「ゴシックバトルアドベンチャーゲーム」となっているのですが、何それ?まぁストーリー紹介を見る限り、バトル要素とファンタジー要素の入った恋愛アドベンチャーゲームってところでしょう。そんな作品(どんな作品?)のヒロインは、美少女転校生・リトル。美少女といっても、彼女の正体はヴァンパイアで、しかも114歳という長生きさん(ヴァンパイア界ではは若いほう)。誕生日プレゼントとして、「普通の女の子としての青春」を望み、面倒を見てくれているドラクレア伯爵の許可を得て、聖ローザ学園に通っているというわけ。そしてその彼女のお目付役となっているのが、兄役のラドウ。彼はリトルをバンパイアにした張本人で、また彼自身の出自も結構複雑。また彼の他にも訳ありなキャラ達が登場。リトルの下僕と化している狼男の犬飼や、やけに霊感の強い真治、そして保健医として学校に潜伏しているヘルシング・山井先生など、その背景は多種多様。とはいえ最終的にはみんなリトルへと繋がっていくんですけどね。


プリンセスナイトメア
バトルアドベンチャーということで、こんなシーンも組み込まれる。


 リトルは元々ヴァンパイアではなく、魔界王家の血を引く“人間”でした。それをラドウが見つけ出し、ヴァンパイアにします。目的は、魔界の王子の花嫁にするため。その魔界の王子というのが同じクラスの真治。それまで全く自覚がなかったのですが、“約束の日”が訪れると共に、覚醒します。恋愛という部分で見るのなら、長い間慕ってくれた兄・ラドウ、最愛の友達・犬飼、魔界の王子・真治の誰を選ぶのか、というお話。ただこの選択においては、人間界で生きるのか、魔界の発展に貢献するのか、それとも第3の道を選ぶのかという、彼女だけの問題でない事情が含まれてくるため、さらに状況を複雑にさせます。
 
 ゲームと違い、ルート選択はすでにされているため、あとはいかに物語として面白くさせるかというところに力を入れるわけですが、ちょっと複雑&重苦しくしすぎてる気も。そういう絵柄だったらしっくりくる気もするのですが、この絵柄ならもうちょっとライトでも良かったんじゃない?全体的に、何となくガチャガチャしている印象。かわいいですけどね。


【男性へのガイド】
→逆ハーレム万歳って作品ではなく、それなりにストーリー性もございます、、、が、敢えてこれを読む必要もあまり感じません。ヒロインが「良いな」って思うのなら。
【私的お薦め度:☆☆   】
→こんな見ためとはいえ、114歳のヴァンパイアに入り込める女性たちってのは本当にすごいな、と頭が下がります。アヴァルスだとインパクト不足だけど、なかよし連載とかだったら結構目を引いたかも。


作品DATA
■著者:花梨エンターテイメント/野口芽衣
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:BLADE COMIC avarus
■掲載誌:コミックブレイドアヴァルス(08年12月号+書き下ろし)
■既刊2巻
■価格:各648円+税

■購入する→Amazonbk1

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