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2009.07.13
07204168.jpg桑原水菜/石据カチル「イルゲネス~黒耀の軌跡」(1)


強くなってやる
俺は軍学校で強くなる…そして
必ず
闇市場を潰す



■3巻発売しました。
 イルゲネス   ある遺伝子工学研究施設の進出をきっかけに、国際的にも名を馳せ、農作物の遺伝子操作も一手に引き受けている国。だがその裏の顔は、量産クローンの温床であり、闇市場による非合法人造体の人体売買は今も莫大な利潤を産み出し続けている。そして人々はイルゲネスをこう呼ぶようになった。髪に背いたゲネティック・ソドムと…
 
 以上の文は作中からそのまま抜粋しました。そんな「ゲネティック・ソドム」イルゲネスを舞台に、闇市場の壊滅を目指す少年の、軍学校での生活を描いた作品です。原作小説「イルゲネス」は、マンガの世界の13年後が舞台…というよりは、小説で描かれる対闇市場戦に参戦する男たちの背景を描いているので、13年前を描いているという表現のほうが正しいのか。当然原作を読んでいる方が、この作品をより楽しむことができるのでしょう。とはいえどういう話なのかは原作を読まずとも余裕でわかるので、心配はご無用。


イルゲネス
軍学校が舞台なので、当然男祭り状態。しかしBL方面にはいきませんよ。


 主人公は、フォン・F・リッテンバー。遺伝子工学の権威で“イルゲネスの父”と呼ばれたリッテンバー博士の息子である彼は、その生い立ちから、周りから奇異の目で見られてきました。イルゲネスが人体売買によって莫大な利益を得ていると言っても、あくまでそれは島裏の闇市場での話。一般人からは、当然のことながら良いイメージを持たれていません。ただでさえ目立つ血筋なのに、成績優秀でしかも一般クラスの彼は、特別クラスの面々から目の敵にされます。
 
 フォンが、遺伝子工学ではなく軍学校に進んだのには、とある目的があるから。それが、「闇市場を潰す」こと。遺伝子工学で、闇市場の形成にも少なからず関わったと思われているリッテンバー博士ですが、彼自身闇市場に関しては断固として否定的な立場におり、最終的には闇市場の大物によって殺されたという経緯があります。その現場を13歳の時に目の当たりにしたフォンは、闇市場の壊滅を強く願うようになります。とはいえその討伐のお話は、小説にて書かれるわけで、マンガではあくまでそこまでの軌跡…出会いから結束、そして決意までが描かれる…はず。その舞台となるのが、軍学校。そういった背景はあるものの、スタイル自体は学園モノのソレ。コメディ少なめ、雰囲気自体は若干重厚なものの、その重さが妙に心地よい作品です。


【男性へのガイド】
→女性出ないですけど、いいですか?ただBLっぽさは薄いので、嫌悪感を抱くって人はまずいないはず。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→独特の雰囲気が、売りであり、弱点でもある。個人的には好きですが、万人向けの作品では決してないと思います。


作品DATA
■著者:桑原水菜/石据カチル
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:BLADE COMIC avarus
■掲載誌:コミックブレイドアヴァルス(07年11月号~連載中)
■既刊3巻
■価格:各562円+税

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「ComicBlade avarus」コメント (3)トラックバック(0)TOP▲
コメント

このマンガ最近BOOK●FFで買いましたww

   BLっぽいのにBLじゃない。

表紙はかなり それっぽいのに・・・

   
      

・・・・よろしくお願いします。

よければブログきてください
 そんな見てもらう程度のモノじゃないですけどね
From: haku * 2011/01/21 20:57 * URL * [Edit] *  top↑
私は5円でこの漫画を買いました。

読んでみて、面白かったから、5円漫画は燃やし
新品で買いました!

も~ ハマっちゃって~❤
From: てろてろ * 2011/05/09 21:29 * URL * [Edit] *  top↑
私このマンガ前から気になってたやつで
やっと今日手に入りました!
主人公の子がヘタリアの日本に似てて
絵も綺麗だし、めっさハマりましたi-184
このまま全巻そろえます!!
From: くま * 2011/10/29 19:46 * URL * [Edit] *  top↑

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