このエントリーをはてなブックマークに追加
2009.07.13
07225113.jpg高橋燎央/Founder masaki「12人の優しい殺し屋-LEO MURDER CASE-」(1)


天を戴く十二宮ペルソナⅫ
今宵もまた
一つの凶星が流れる時を迎えました



■歌舞伎町No.1ホスト・醍醐小太郎。明るく奔放、けれども女心はしっかり心得ている。そんな彼、実はペルソナ12と呼ばれる超一流の殺し屋集団の1人。表では売れっ子ホストとして生活し、その裏では殺し屋として、占い師・真宮陽介によって与えられる案件をこなしていく。絶対的な因果の流れの中、小太郎の哀しき殺人の数々が始まる…。

 殺し屋集団・ペルソナ12の一人である醍醐小太郎の哀しき殺人の数々を描いたお話。12人の~とありますが、描かれるのは小太郎だけ。他の11人に関しては、様々な媒体にて描かれるそうです。秋田書店、エンターブレインでも連載してるみたいです。さて話ですが、様々な背景を抱えた犯罪者・被害者と小太郎が出会い、最終的に彼が殺人という形で決着を付けていくという流れ。ただそれだけでは話が単調になってしまうので、彼自身の生い立ちや、周囲の人物にも物語をつけて、作品を彩ります。


12人の優しい殺し屋
小太郎編でのキーパーソンになると思しき、世話役の透。この作品が物語としてどう昇華するかは、おそらく彼に懸かっている。


 「これ単純に、正義を振りかざす勧善懲悪的なヒーローものなの?」と思い、公式ホームページを見てみたのですが、「法で裁けぬ悪に、法に依らぬ罰を」というフレーズが使われているので、どうやらそういった見識で良さそうですね。殺し屋達は多少なりとも後ろめたさみたいなものは感じているようですが、結局のところ自分は正しいと思ってるのかな。「Death Note」や「恨み屋本舗」「地獄少女」などが出た後に、こういう話を見ると、どうにも短絡的で浅はかに見えてしまうのですが、どうでしょう。人間ドラマ的な部分で味付けし、カバーしてくるのはいいんですが、根幹がこれだと厳しい気もします。また「法で裁けぬ悪」とありますが、小太郎編を見る限り、法で裁けるんじゃない?という案件がチラホラ。また「法に依らぬ罰を」とありますが、結局全部殺しに持ってちゃうんじゃなぁ、とね。
 
 ってなんだかダメ出しばかりになってしまいましたが、これはこの作品を、他の作品と比較したからであって、単純にこの作品の出来だけ見るならば、設定なりに上手く事を運んでおり、原点要素はこれといって見当たりません。絵自体もキレイで見やすいですし、個々の話も読みやすいです。あとHP見て驚いたんですが、声優陣がとっても豪華ですね。売れっ子男性声優が一堂に会しております。そんな詳しくない私でも、ほとんど知ってた。


【男性へのガイド】
→形態自体は、哀しきヒーローもののソレ。表紙やホームページから受ける印象と違って、意外にも読みやすいかも。
【私的お薦め度:☆☆   】
→これ単体で考えるなら特にマイナスはないものの、トレンドなどを考えるとどうなの?と。


作品DATA
■著者:高橋燎央/Founder masaki
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:BLADE COMICS avarus
■掲載誌:コミックブレイドアヴァルス(09年2月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:571円+税

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「ComicBlade avarus」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。