
君たちふたりで
アイスダンスの頂点を極めてみるってのはどう?
■5巻発売しました。
煌河グループの御曹司・煌河一己は、取り壊し予定のスケートリンクで、一人の少女と出会う。手入れされていないガタガタのリンク、そしてアイスダンス用の靴を履きながら、華麗にジャンプを決めていく。彼女の名前は、珠洲雪野。ジュニア時代に天才と呼ばれたものの、3年前にケガをして引退、以降スケート界では全く名前を聞かなくなっていた選手だった。しかしその滑りを目の当たりにした一己は、彼女にアイスダンスの素質を見出し、再びリンクの上に立たせようと考える…
ケガをして一線を退いた、元天才スケート少女の再生と成長を描いた物語です。アイスダンスってご存知ですかね?フィギュアスケートの一種なんですけど、ペアとは違いジャンプなどは行わず、ステップワークなどで得点を競います。「氷上の社交ダンス」なんて言われているそうですね。というわけで、ケガをして競技人生が断たれたヒロインにも、アイスダンスなら復活のチャンスがある…という流れ。あらまし紹介は一己視点でしたが、物語の中心はあくまでヒロイン・雪野が中心。そのふたりに加え、パートナーであるロマン(カナダ人と日本人のハーフ)との関わりあいがメインに描かれます。

スケーティングシーンのキマリっぷりは、他の作品の追随を許さない。華があるっていうか、なんかやけにカッコいいんですよね。
軸となっているのは、アイスダンスでのサクセスストーリー。しかしパートナーとの関係性が競技の出来不出来に大きく関わってくる種目のため、人間関係に関する描写も多め。この辺は、チョイスした競技が良かったってものでしょう。他の競技だったら、こうも自然に人間関係を絡めてくることはできまい。とにかくその混ぜ方が絶妙で、スポーツモードと恋愛モードの境目が見えないようになってます。この辺はベテランのなせる業ってところでしょうか。まさに女性のための、スポーツ漫画。昔ながらのスタイルで、華やかに物語を彩ります。
しかしながら、全体的に単調な流れになっているのは気のせいだろうか。ちゃんとヒロイン達が乗り越えるべき壁はあるんですが、それがどれも小波の域を出ないというか。小波でもいいんですが、それが最終的に大波に繋がっていくなんて展開も欲しい…なんて言うのは欲張りですか。たぶんこの後に紹介する「キス&ネバークライ」と、無意識のうちに比較してしまっているのかもしれません。
【男性へのガイド】
→少女漫画的な色合いが強い作品。ただ出来自体は良いですし、スポーツ要素も多少なりともありますからね。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→上手くまとまっており、さすがベテランといったところ。これを「古き良き」と捉えるか「古くさい」と捉えるかは、読み手の時代感如何でしょう。個人的にはこの後ご紹介する『キス&ネバークライ』のほうが好きなので。
作品DATA
■著者:さいとうちほ
■出版社:小学館
■レーベル:flowersフラワーコミックス
■掲載誌:flowers(2007年7月号~連載中)
■既刊5巻
■購入する→Amazon