このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [オススメ] 2009.07.17
07191263.jpg吉野マリ「桃色ヘヴン!」(1)


あたし椎名桃子。
一見ふつうの女子高生。
…に見えるけれど
じつは官能小説家をやっています。



■5巻発売。てかあらまし紹介せずとも、台詞抜粋で全てが物語られているという…。
 一見フツーの女子高生・椎名桃子は、実は“愛原ジョージ”というベンネームで官能小説を書いている。しかもこれがなかなかの売れっ子。こんな恥ずかしい秘密、誰にも言えない!ところがある日、転入生のスーパーモデル・伊縫蘭丸にその秘密を知られてしまう。「誰にも言わない代わりに、奴隷になれ」という無茶な要求を出されるも、個々は呑むしかあるまい。その日から、なんとも不思議な秘密の関係が始まって…!?

 女子高生官能小説家がヒロインの、エロネタちょい多めのラブコメです。さて、どうしてヒロインは女子高生にして官能小説家などやっているのかですが、それは数年前の父の死がきっかけ。官能小説家だった彼女の父が原稿書きかけで死去、普通であればボツになるハズが、当時の編集担当が続きの執筆を、当時中3だったヒロインに依頼します。文才に恵まれ、その話は父親を通じて担当編集の耳にも入っており、出版社サイドとしては切羽詰まった上での依頼。一方の桃子も、父の残した借金に母親の入院と、自分でお金を稼がなくてはいけない状況に追い込まれており、その提案を呑んだという形。以降愛原ジョージのゴーストライターとして執筆を続けています。そんなある日、転入生のスーパーモデルにその秘密を知られてしまい、以降”奴隷“としてこき使われるようになって…という流れ。


桃色ヘヴン
処女だけど、官能小説のネタを考えるシーンでは、必ずヒロインがモデルになっている。いや、それが個人的にどうにもツボで(笑)


 女子高生で官能小説家っていう設定で、すでにかなり目を引きますが、物語の自体もなかなか面白いです。軸となるのは、ドSなスーパーモデル・蘭丸とのラブでコメな展開。これ自体はある意味ありきたりなのですが、そこに、ヒロインの処女設定・官能小説ネタを絶妙に絡めてくるので、読んでいて飽きません。職業が官能小説家ということで、訪れるイベントにはエロ方面のものも当然絡んできますし、頭の中はエロネタの探求でいっぱい。しかし実生活では恋愛なんてこれっぽっちもできやしない。そんな中に表れた、ドSの男のコ。彼自身かなり女性にだらしないのですが、目の前に表れた純潔な官能小説家に興味を持ち、気がつけば大切な存在に…。もちろんエロ方面にも流れますが、お約束の寸止め展開と、期待を裏切りません。出発点ですでに多少はっちゃけているので、コメディに関しても多少パンチの効いたネタを持ってきても問題なし、というか、それぐらいでちょうど良いという。上手い…というか、よく作り込んでるな、と。こういう作品は、デザートならではって感じがして良いですよね。


【男性へのガイド】
→ドS王子様と無垢なヒロインのラブコメという、少女漫画の一王道パターンではあるのですが。コメディの流れが非常に小気味よいので、男性にも読める下地は十分にアリ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→デザートらしさが良く出た良作ラブコメ。設定を上手く使うってこういうことなんですね、と。


作品DATA
■著者:吉野マリ
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:デザート(平成19年3月号~連載中)
■既刊5巻

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「デザート」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。