
あたし椎名桃子。
一見ふつうの女子高生。
…に見えるけれど
じつは官能小説家をやっています。
■5巻発売。てかあらまし紹介せずとも、台詞抜粋で全てが物語られているという…。
一見フツーの女子高生・椎名桃子は、実は“愛原ジョージ”というベンネームで官能小説を書いている。しかもこれがなかなかの売れっ子。こんな恥ずかしい秘密、誰にも言えない!ところがある日、転入生のスーパーモデル・伊縫蘭丸にその秘密を知られてしまう。「誰にも言わない代わりに、奴隷になれ」という無茶な要求を出されるも、個々は呑むしかあるまい。その日から、なんとも不思議な秘密の関係が始まって…!?
女子高生官能小説家がヒロインの、エロネタちょい多めのラブコメです。さて、どうしてヒロインは女子高生にして官能小説家などやっているのかですが、それは数年前の父の死がきっかけ。官能小説家だった彼女の父が原稿書きかけで死去、普通であればボツになるハズが、当時の編集担当が続きの執筆を、当時中3だったヒロインに依頼します。文才に恵まれ、その話は父親を通じて担当編集の耳にも入っており、出版社サイドとしては切羽詰まった上での依頼。一方の桃子も、父の残した借金に母親の入院と、自分でお金を稼がなくてはいけない状況に追い込まれており、その提案を呑んだという形。以降愛原ジョージのゴーストライターとして執筆を続けています。そんなある日、転入生のスーパーモデルにその秘密を知られてしまい、以降”奴隷“としてこき使われるようになって…という流れ。

処女だけど、官能小説のネタを考えるシーンでは、必ずヒロインがモデルになっている。いや、それが個人的にどうにもツボで(笑)
女子高生で官能小説家っていう設定で、すでにかなり目を引きますが、物語の自体もなかなか面白いです。軸となるのは、ドSなスーパーモデル・蘭丸とのラブでコメな展開。これ自体はある意味ありきたりなのですが、そこに、ヒロインの処女設定・官能小説ネタを絶妙に絡めてくるので、読んでいて飽きません。職業が官能小説家ということで、訪れるイベントにはエロ方面のものも当然絡んできますし、頭の中はエロネタの探求でいっぱい。しかし実生活では恋愛なんてこれっぽっちもできやしない。そんな中に表れた、ドSの男のコ。彼自身かなり女性にだらしないのですが、目の前に表れた純潔な官能小説家に興味を持ち、気がつけば大切な存在に…。もちろんエロ方面にも流れますが、お約束の寸止め展開と、期待を裏切りません。出発点ですでに多少はっちゃけているので、コメディに関しても多少パンチの効いたネタを持ってきても問題なし、というか、それぐらいでちょうど良いという。上手い…というか、よく作り込んでるな、と。こういう作品は、デザートならではって感じがして良いですよね。
【男性へのガイド】
→ドS王子様と無垢なヒロインのラブコメという、少女漫画の一王道パターンではあるのですが。コメディの流れが非常に小気味よいので、男性にも読める下地は十分にアリ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→デザートらしさが良く出た良作ラブコメ。設定を上手く使うってこういうことなんですね、と。
作品DATA
■著者:吉野マリ
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:デザート(平成19年3月号~連載中)
■既刊5巻
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