
きっといつか
なってやる
本当のいい男に
■麗南高校に通う九条清澄は、学校でも話題のイケメン生徒。いつも一緒にいる友達・鷺野真木もまた、負けず劣らずイケメンで、入学以来この二人で、学校の女子人気を二分している。しかしこの九条清澄、実は中学までは非常に内向的でガリ勉、好きな女の子からはキモイと言われ、クラス中からのけ者にされるような少年だった。そんな自分を馬鹿にした人達を見返すため、イイ男・鷺野に指南を頼み、イイ男への道を歩み始める。そして数ヶ月後、最強の改造少年「サイボーイ」へと変身を遂げ、今のポジションを手に入れたのだった。「カッコいい」なんて当たり前、「高嶺の花」なんて言われることさえある。そんな毎日に心躍らせる清澄だったが、最近なんだか気になる人ができて…!?
恋愛とは縁遠かった元ガリ勉の地味少年が、友人の指南によってイケメンに大変身。これで全てが上手くいくようになる…そんな矢先にできた、気になる女の子。早速今までの練習の成果を生かして、アプローチをかけてみるものの、彼女は大がつくほどのイケメン嫌いだった…というお話。「サイボーイ」って、なんだかSFチックなタイトルですが、イケメンに生まれかわった自分の事を、「改造少年=サイボーイ(サイボーグボーイ)」と称したのが由来。全然SFじゃありません。ジャンルは、全力でコメディです。

生まれかわったとはいえまだまだ外見だけ。これまでまともな青春というものを送ったことがなかった清澄にとっては、クラス全員が集まるクリスマス会に呼ばれるだけで感涙もの。
さて、主人公の清澄ですが、外見だけはなんとかイケメンになったものの、中身はまだまだイケメンモードになってきません。パターン化された会話・行動なら大丈夫ですが、一旦変化球がくれば立ち所に何も出来なくなってしまいます。また思考も基本ネガティブで、行動に関してもまだまだ積極性に欠けるところがあります。そんな彼の気になる相手は、同じクラスの地味だけど心優しい女の子・三上亜蘭さん。しかし彼女、ホストのダメ父の影響で、イケメンと呼ばれる類いの男が大嫌い。イケメンとしてのテクニックを身につければ身につけるほど、彼女が遠のいていく。彼女には好かれたい…だがカッコいい男にもなりたい…その間で苦悩しまくる清澄の姿が滑稽で仕方ありません。
これだけだとラブコメ一本の作品のように思われるかもしれませんが、実際には恋愛以外にももう一つ軸となる要素が。それが、零南イケメン会との戦い。麗南イケメン会とは、清澄・真木の二人が入学するまで、麗南の女子人気を欲しいままにしていたイケメンの集い。その人気を、清澄・真木コンビに一気に持っていかれた彼らは、何とかして二人を潰そうと、あの手この手で罠や脅しを仕掛けてきます。要は女子人気を懸けた真剣バトルなんですけど、これを真剣にやっているってだけでむちゃくちゃ滑稽。もうね、こういうバカな感じが大好き。ラブコメとしても優秀ながら、おバカ学園コメディとしても楽しめるという、2度美味しい内容となっています。いや~表紙とタイトルだけ見て、あんまり期待できないかと思っていたのですが、最高の形で期待を裏切ってくれました。面白かったです。
【男性へのガイド】
→主人公は男の子。ノリ的には「オトメン」(→レビュー)っぽいかな。読みやすいと思いますよ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→地味な男がカッコいい男に生まれかわる(努力をする)という作品は結構ありますが、ここまで上手いことコメディに落とし込んだ作品はそうはないんじゃないでしょうか?ラブコメとしても良し、おバカな学園コメディとしても良し。もちろんオススメですよ。
作品DATA
■著者:西形まい
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成20年18号~平成21年13号)
全2巻の予定でしょうか。はてブでのご指摘ありがとうございました<(_ _*)>
■既刊1巻
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