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Tag [オススメ] 2009.07.19
strangeplus.jpg美川べるの「ストレンジ・プラス」(1)


「あ…ありえねえ!なんだよコイツら」
「リアリティっつうもんを考えろ!!」
「アホかお前らそんなモン
 1話目から便所に捨てたわ!!」



■先月9巻発売してました。遅れてレビューします。
 数年前に家から出ていった兄を捜すため、治安の悪いスラム街に辿り着いた恒。この街で、人探しをするには、探偵を雇うのが一番。そう言われ、向かった先は「美国探偵事務所」。探偵を雇っただけで、簡単に見つかるはずがない…しかし、打てる手は打っておきたい…そう考えての決断だったが、なぜか事務所には兄の姿が!?なんと探偵事務所の雇われ所長をやっているのだという。なんとか家に帰ってもらおうとする恒だったが…!?

 とあるスラム街の、変人揃いの探偵事務所を描いたギャグマンガです。ええ、ギャグマンガです(大事なことn(ry…兄を連れ戻しに来たつもりが、結局自分も探偵事務所の一員として居座ってしまうと言う流れ。なんでそうなったかというと、兄探しの最大の目的が、家業を継ぎたくないというところから来ているため。結局家から逃げられればいいというわけで、兄に邪見にされながらも、探偵として働きはじめます。基本話を動かすのが、雇われ所長である兄・巧美。普段から女装(っぽい格好)をしている彼は、とにかく自己中心的な性格で、自分の行く道を邪魔するものがいたら、徹底的に叩き潰すという男。しかも童顔な割に、腕っ節もなかなか立っており、手がつけられないという状況。そんな彼と働く同僚達も、どこか抜けたところのある変人たちで、いかにもギャグマンガのために用意しましたというような面々となっています。


ストレンジプラス
こんな感じのノリ。


 ギャグマンガといっても色々ありますが、この作品は勢い系にパロディネタをミックスさせたようなスタイル。基本はハイテンションな勢い系のネタが展開されますが、時折パロディネタが投入され、リズムをいい意味で崩します。ムキムキだけど、実は根っからのオタクという正宗の存在が大きいのかな。また探偵事務所の面々のみならず、探偵事務所に出入りする人間もまた変人揃い。キャラクターには困りませんね。やさぐれたネーサンもいれば、変態のメガネ医者もいる、ロリッ子も完備と抜かりなし。
 
 この作品、ギャグマンガとしては結構な良作だと思うんですが、Amazonのレビューでは、☆1コの評価が目立ちますね。もちろん☆5☆4付ける人は多いのですが、それにしても☆1が多い。2~3のラインでなく、1ということは本当に合わなかったということですよね。ギャグマンガなので、「笑えなかった」の一言で評価付けは済んでしまうのですが、全体で見ると、「東京系の笑い」「ネタがわからなかった」という意見が個人的に気になりました。往々にして原因は、パロディ部分の元ネタを知らないってことにあるのでしょうか。そのためそういう人は、勢い部分でしかネタを楽しむことができず、不満足感が残った、と。まぁ所詮推測の域を出ないんですが。ただ個人的な意見を言わせてもらえば、「それぐらい知っててくれよ!」と。


【男性へのガイド】
→男性にも読みやすいと思いますよ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→なんだかんだで面白い。というか、好き。好き嫌いが分かれるってのは百も承知で、あえてのオススメ。


作品DATA
■著者:美川べるの
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUM COMICS
■掲載誌:ZERO-SUM(平成14年5月号~連載中)
■既刊9巻

■購入する→Amazonbk1

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