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Tag [続刊レビュー] 2009.07.21
作品紹介はこちら→吉岡季々子「彼はトモダチ」


07224430.jpg吉岡季々子「彼はトモダチ」(5)


ホントは ユーマとカレン
どっちが 好きなの?



■5巻発売しましたよっと。
 クラスメイトの後押しもあり、水野と付き合うことになったヒヨリ。しかしどうしたって佐々本の顔がちらつく。それでも水野の真っ直ぐな気持ちに触れ、彼のとなりにいることを決意。そして、文化祭の季節が訪れる。佐々本への想いを断ち切るために、ある行動を起こしたヒヨリだったが…!?

 相変わらず運命だなんだとぐだぐだやっております。ふと冷静になると「なんで俺、こんな作品読んでるんだろう…」という気持ちになるのですが、そんな自分がとっても悲しい。というわけで、改めて自分に言い聞かせますか。だって恋愛覚えたての頃なんて、誰しもがこんな気持ちだったはず。根拠もなく気持ちだけは一人前で、それだけで精一杯で、それだけが全てだった。あー、自分のその頃を思い出して赤面した(笑)やけに焦ってたなぁ…
 
 さて、それにしてもクサいシーンの多いこの作品ですが、そりゃそうさ、だってメインキャラ4人全員がしみったれた性格なんだもの。特にヒーローである佐々本がヒドい。これに関しては作者さん自身自覚しているようで、ヘタレ愛からこうしたウジウジしたキャラになってしまったようです。加えてムードメーカー役を兼任するはずだった水野までも、ヒヨリの毒にやられてヘタレキャラに。いやね、たぶん読者のほとんどは「琴音死ね」(誠死ね的ニュアンス)という感じだと思うのですが、ヒーローズヘタレキャラ化の原因はヒヨリにあるような気がしてなりません。そんな真のヒーロー不在の中、急に頭角を現しはじめたキャラが。それが佐々本と同じ特進クラスの当道。この当道くん、とにかくかっこええ。他の作品だったら普通からちょいいいヤツクラスなのかもしれませんが、後ろ向きキャラしかいないこの作品においては、とにかくイイ男っぷりが際立っています。そうか、この作品に足りなかったのは、前向きさだったのかもしれませんね。


彼はトモダチ1
琴音にポテトをぶっかけられても平然としてます。私だったらドン引きして泣きますよ(基本弱虫なのでキレられない)。というかまず、ややこしそうな二人の間に入り込もうって度胸がすごいですよね。



彼はトモダチ2
彼が登場して以降、「怒り」という感情の発露を覚えた琴音。それまで不機嫌さを出すことはあっても、怒りというレベルにまでは行かなかった。水野・佐々本に守られているときは、怒りの感情を出すことはなかったんじゃないですかね。怒りを出すようになってから、かなり主張がストレートになり、俄然元気な琴音。1~4巻で散々悪者にしておいて、フォローがいまだに不十分であるのは気に入りませんが、こういう形が見られたってのはなかなか面白いですね。あくまで琴音を肯定的に捉えたい自分の立場としては、こういう展開は非常に興味深い。今後どういうキャラになっていくのか注目です。というか5巻の登場人物紹介の琴音のカットは、どう考えても悪意があると思う。



彼はトモダチ3
5巻のファインプレー賞。もはや当道ナシでは物語の進展は考えられません。昔どこかで、「青春群像物語は、(メインの)登場人物が偶数だと進展しにくい」なんて話を聞いたことがありますが、この作品はまさにそれを体現しているなぁ、と。もちろん偶数人でも面白い作品はありますが、それは作者さんに腕があるからこそ。別に吉岡先生に腕がないってワケじゃないんですが、この作品に限っていえば、5人で正解だったんじゃないかと。っていうか、正解であって欲しい。
 
 さてさて、というわけでようやく前に進みはじめた物語ですが、そろそろ終盤に差し掛かっているようですね。あと2巻ぐらいでしょうか。とりあえず琴音を幸せにしてあげてください…。しかしヒヨリはどっちを選ぶんでしょうか。実は5巻でヒヨリは初体験をするのですが、その相手は水野。性に関しては割りかしオープンな別フレとはいえ、これでもし佐々本だとしても、それは女の子的にOKなんですか?まぁ納得できる形であればなんでもOKなんでしょうが、元来の少女漫画であればそのセンはまずないわけで、実に興味深い所です。いや、少コミやもうちょい対象年齢上の雑誌なら普通に見られるけどさ、この作品に関してはなんというかそういうラインの作品に見えないので。といいつつ佐々本本線だと思いますけどね。だって5巻の表紙佐々本だし。


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