
「この世界は
生きる価値もないほどつまらないですか?」
「じゃあ
偲倚が面白くして?」
■4巻発売しました。
国内でも有数の財閥・巫式財閥の後継者に指名された巴。愛人の息子でありながら、他の子供達を差し置いて指名を受けたものだから、親類たちは激怒。その莫大な財産を目当てに、巴の命を狙ってくる。そんな彼に、ある日派遣のメイドがあてがわれた。彼女の名前は葛城偲倚。メイドとしてのやる気は人一倍あるのだが、全く使い物にならない。しかし彼女にはある秘密があって…!?
ジャンル不詳、メイドものであり、バトルものであり、学園ものであり、恋愛ものでもある。主人公は、巫式財閥の跡取り・巴。まだ高校生の彼は、跡継ぎ争いに破れた身内から、命を狙われる日々。そんな彼の元に派遣されたのが、メイドの葛城偲倚。普段はドジッ子メイドをしているが、巴が命の危機にさらされれば一度、一流のボディーガードに変身する。彼女の正体は、人間を超越した存在である殲滅姫(アニヒレイタ)の一種(…と思われる)。スタートは、単純なボディーガードから恋愛に発展という流れながら、途中から学園生活がメインになり、さらにもう一つ大きな物語(殲滅姫と巴について)が用意されているというなかなかカオスな物語展開となっております。

作中は名言(迷言?)のオンパレード。素晴らしいです。
昔Imidasか何かの「萌え」の用語の説明の所で、セーラームーンやプリキュアのように、少女が闘うところに特別な感情を覚えるのが一つの源流なんてことが書いてあったように思うのですが、そういう意味ではヒロインの偲倚、萌えを地でいくキャラ設定のハズです。超人的な身体能力を持ったボディーガードで、さらに萌えとある意味セットで進出してきたメイドさん、さらには普遍的な人気を誇るメガネに、ドジッ子+敬語というオマケ付き。しかしながら、全く萌えない。まぁあくまでこれは私の感想なのですが…。ただ設定を見るとどうしたってそういった方向を狙っているんじゃない?って気になりますよ、うん。
お話の目的は、偲倚と巴の恋愛成就なのですが、そこには越えるべき壁が。それがヒーローである巴の心。過去に殲滅姫と一悶着あった彼は、さらに身内から命を狙われることによってどんどんと生への欲求を失っていきました。それ故非常に落ち着いているのですが、どこか人間的な感情を感じない。その心を、殲滅姫(と関係があるとされる)偲倚が開いていけるか、という所がポイントになっていきます。ただそこに辿り着くまでに偉い回り道している気がするなぁ…。メインフィールドになってくるはずの学校生活に辿り着くまでに1巻を要しているし、1巻時点では殲滅姫についてほとんど語られていない。殲滅姫がキーになるはずなのに、序盤はまったくそれを匂わせない。なんかバランスが悪いというか、損しているというか。
【男性へのガイド】
→どうだろう。毛嫌いする人はいないとは思いますが、これを気に入る人ってのは男女共に結構限られてくると思います。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→自分の描きたい作品を描いている感じはスゴく伝わってくるのですが、物語の流れが…。
作品DATA
■著者:都筑せつり
■出版社:秋田書店
■レーベル:プリンセスコミックス
■掲載誌:プリンセス(2007年11月号~連載中)
■既刊4巻
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