
必ず
必ずあなたのもとへ参ります
■時は戦国。浅井長政の娘として生まれた少女・茶々。戦によって愛する家族を奪われ、生きる希望を失っていたある日、彼女の目の前に現れたのは、死んだと思っていたお守役の相馬だった。愛する者ができ、再び生きる希望を見出した茶々であったが、天下人・秀吉から、側室として迎え入れられてしまう。しかしどんな苦境でも、誇りは絶対に失わない。愛する者と共に生きることを願って…!
わたなべ志穂先生が描く、歴史ロマン。ヒロインは、実在した人物である茶々(淀殿)。言わずと知れた、豊臣秀吉の側室でございます。お話は、幼少時代からのお守役・相馬との哀しき恋愛模様を追うといったもの。私はあまり歴史に詳しくないのですが、相馬は架空の人物ということでいいんですかね?物語の流れ自体は一応史実に沿ってはいるものの、いくつか史実とは異なる設定が登場し、今後そのズレは大きくなっていくものと思われます。だって明智光秀生き延びていて、徳川家康のブレーンをやってますからね。これは私も知ってますよ「明智光秀=天海説」ってヤツですよね。

一度は秀吉から逃げ、最期まで相馬と寄り添う決意をした茶々。しかし相馬の手によって、秀吉の元に送られてしまう。相馬はなにより、茶々に生きていて欲しいと願ったのだ。
家族を失った茶々は、久々に再会した相馬と恋に落ち、生涯この人の隣にいることを決意。しかしあろうことか茶々の家族を殺した秀吉に側室として迎え入れられてしまい、二人の間は引き裂かれてしまいます。それでも決して相馬から心が離れることはありませんでした。憎い相手に抱かれようと、決して心を折らず、懸命に生き続けます。そんなある日、城内で再び相馬に再会。なんと相馬は、お世話になっていた寺の住職(明智光秀)の言付けで、徳川家康の家来になっていたのでした。以来、密かに逢瀬を重ねるようになった二人。やがて茶々は子を身ごもります。それが、豊臣鶴松というわけ。実際に鶴松の父親に関しては、秀吉ではなく他の男であるという説が根強いようで、この辺は使い方が上手いですよね。また明智光秀は徳川家康に相馬を紹介したのも、茶々との繋がりを知った上でのこと(天下取りへの捨て駒として)。単なるロマンスと思いきや、オリジナル設定にも余念がありません。
オリジナル設定を持ち込んで、独自の人間ドラマを描いているわけですが、非常に感心すると同時に、少女マンガの限界を見てしまったような気もします。これ恋愛以外の部分をさらに詳しく描けば、もっと味わい深い作品になったと思うんですよ。けれどそれが出来ない。それは作者さんの腕云々というよりも、連載誌がCheese!であるが故に、恋愛一辺倒にならざるを得ないという側面が強いというか。これ以上重たくしたら、読者は離れていってしまうんだろうなぁ。
【追記】
少コミ連載だと勘違いしていましたが、Cheese!連載でした。もうしわけありません。ご指摘してくださったあおさん、本当にありがとうございました<(_ _)>
【男性へのガイド】
→歴史もの独特の重さはありません。それが良いのか悪いのか。まぁ軸はラブロマンスですので、そういうのが好きな方は。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→良く出来てるほうだと思います。ただそれでも、結局は普通のラブロマ止まり。もったいない気もしますし、これで丁度良いのかもって気も。
作品DATA
■著者:わたなべ志穂
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!('09年1月号増刊~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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