
冷たかった頬は
少しずつ
あったかくなって
ふいに
何もかも
とけだしそうになる
■作者さんのデビュー読切り集。読切り6編を収録。
それでは表題作をご紹介致しましょう。クリスマスのお願いは、大好きな人とイヴを一緒に過ごすこと。その願いを叶えるために、勇気を出して憧れの純くんに告白。しかしあえなく失恋してしまう。せめて、せめてひと時だけでも、願いを叶えたい…!そこで、無理を言って一緒に帰ってもらう。そこで彼の口から、元カノのことを忘れられないことを聞いて…!?
「イノセントホワイト」というタイトルとは裏腹に、お菓子が可愛らしく描かれた表紙となっているこちらの作品、佐藤楓先生のデビューコミックスになります。お話は、表紙の印象そのままのような、甘ーい恋物語がメイン。それもサラッとした甘さではなく、ややくどい甘さですかね。ヒロインも、恋愛体質気味な、アホっぽいフワフワした子が多め。ただ単純に恋愛バカってわけではなく、恋愛を知らないというイノセンスさからくる、無邪気さ・無防備さがあるためにそういう風に見えるという感じ。どのヒロインも擦れていないため、とっても好印象。ただこの作品、それだけではありません…

ふわふわ明るい話で押してくるのかと思いきや、引き画やモノローグを挟み込み、上手く緩急を付けてくる。こういうのは正直予想していなかったので、驚きました。
デビュー作ですし、全体的にかなり荒削り。ただ、間の取り方や引き絵の挟み方などには、キラリと光るモノがあるように思いました。こういう見せ方を出来る新人さんは、今後絶対伸びるはず!…思わず明言してしまいましたが、果たしてどうなるんでしょうか。いやでもね、小学館の新人さんとかにはそんなにいないんですよ、うん。同じようなタイプのヒロインでも、こういう緩急がついてるか否かでは、作品の印象がだいぶ変わってきます。近2作のヒロインがアホ子で、過去4作が普通めのヒロインということで、これからどういう作風で行くのか気になりますが、上手くいけば高野苺先生(→『夢見る太陽』)みたいなラインに乗れそう。ちょっと追いかけてみようかな。
【男性へのガイド】
→女の子のためのお話。男性も読めるとは思いますが、溢れんばかりの甘さとクサさに耐えられるかがポイント。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→まだまだ粗いのでオススメはしませんが、作者さんの名前は覚えておいて損はないと思いますよ。
作品DATA
■著者:佐藤楓
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:ザ・マーガレット(平成19年8月号,平成20年4月号,12月号),デラックスマーガレット(平成19年5月号,11月号,平成20年9月号)
■全1巻
■価格:400円+税
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