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2009.07.27
soratoarashi.jpg巣田祐里子「逢魔警察 ソラとアラシ」第1巻


…俺のパートナーなんだから
もっと堂々としてろ!



■2巻発売しました。
 人間界と妖魔界が繋がってしまった現代。そんな世界の秩序を保つため、作られたのが「逢魔警察」。人間と妖魔の選りすぐりのエリート同士がコンビを組み、現代で悪さをする者(主に妖魔)を取り締まるのだ。その「逢魔警察」には、エリートを養成する機関「OZ」がある。そんな「OZ」の一員で、普段はフツーの高校生をしている一条空の相方は、服役囚の妖魔・嵐。勝手気ままな嵐に、いつも振り回される空だけど、なんとか今日も頑張っています!

 これ続き物なんですね。前作は「ソラとアラシ」という作品だそうで。全く気がつきませんでした。と、いうわけで、前作未読でのレビューとなりますので、ご了承を。あ、ここから読みはじめても全く問題ないですよ。
 
 舞台となるのは、人間界と妖魔界が繋がってしまった世界。そこで秩序を保つべく活動する「逢魔警察」のエリート養成機関「OZ」の一人・一条空と、そのパートナーで問題児の狼獣・嵐の奮闘を描くファンタジーです。妖魔を取り締まる警察の見習いって感じですかね。兄が優秀な逢魔警察で、自身も特別な力を持っている空。しかし運動神経ゼロで、特別な力も自由に使えないという、ちょっと使えない主人公という設定。そんな彼の相方は、あろうことか服役囚の凶暴狼獣・嵐。どうしてこんな輩が、見習いの空のパートナーなの?と思われるかもしれませんが、嵐の過去のパートナーが空の兄で、相性が良いという理由から選ばれたというわけ。まぁ相性がいいと言っても、嵐を掌握することはなかなか出来ません。彼に信頼してもらうため、空は日々奮闘します。


ソラとアラシ
嵐自身が凶暴な性格で、服役囚だということもあるが、それ以前に狼獣が良い印象を持たれていないため、常に疎まれるという状況。空は、そんな状況をなんとか脱したいと願っている。


 バトルや私生活を通じて絆を固くしていく…というお話になるのかな。序盤からキャラクターがたくさん出てきて、少々わかりづらいところもありますが、Asuka読者にはそんなに苦にならないのでしょう。全体を包みこむような大きなストーリーも用意されていると思われますが、基本はキャラ同士の掛け合いを見て楽しむ系統の作品。世界観や設定はオリジナルですが、キャラ分け自体はテンプレにのっている気がしますね。けれどそれが「ありきたり」という方向にいくことはなく、あくまで「親しみやすいよね」という印象を持たせます。自分の描きたいことを描くって前提であれば、こういう話の作り方は上手。


【男性へのガイド】
→角川ですしね、Asukaですしね。読む分には苦になりませんが、旨味があるかと言われるとどうだろう。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→「毒にも薬にもならない」と言うと貶めてるようにしか聞こえないな…。明るく楽しい作品です。


作品DATA
■著者:巣田祐里子
■出版社:角川書店
■レーベル:あすかコミックスDX
■掲載誌:Asuka(2008年7月号~連載中)
■既刊2巻

■購入する→Amazonbk1
カテゴリ「Asuka」コメント (2)トラックバック(0)TOP▲
コメント

 20年近く巣田先生の作品を読み続けている身としては、この人が「少女誌」で描いていることに対して、どうしても違和感を覚えてしまいます(笑)。
 正直、この作品は巣田先生の持ち味が全然生かせていないと思うんですよ。BL好きの読者に媚びすぎてるというか(まぁ、もともと別PNでBLも描いてる人なのですが)。まだ前作の『ひよこや商店』の方が「らしさ」が残っていたかなぁ、と。
 機会があれば『GO WEST』や『ハーフ&ハーフ』なども読んで頂けると嬉しいです。どちらも少女漫画ではないですし、独特のテンポで描かれているが故に「読みにくい漫画」ではあるのですが、本来の巣田ワールドの魅力が詰まった作品です。
From: 闇霧 * 2009/07/28 16:39 * URL * [Edit] *  top↑
 私はこれが初の巣田作品でした。かなり前から第一線で活躍されているにも関わらず、なかなか触れる機会がなかったのですが、なるほど巣田祐里子の魅力はこんなモノじゃないのですね。最初がこれってのは、少しもったいなかったかな…。
 腐女子に媚びるというのは、このレーベルの場合致し方ないのかもしれません。媚びてナンボ、という側面すらあるように思いますし。
 オススメ作品まで教えていただいてありがとうございます。『ハーフ&ハーフ』は特に評判良さげなので、早速購入してみたいと思います~。
From: いづき * 2009/07/28 19:03 * URL * [Edit] *  top↑

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