
これは妖怪退治をしながら…
東海道を旅する
退魔師と真言密教僧のお話
■3巻発売。来月には新装版も出るようです。
退魔師・嵯峨野氷雨と、真言密教僧・孔雀院斎。幼い頃から共に育った二人は今、コンビを組んで妖怪退治をしながら東海道を渡っている。氷雨から見た斎は、単なる親友。しかし、斎から見た氷雨は、親友や幼なじみを超えたLOVEな存在。少し気を抜けば、襲われかねない。そんなアンバランスな二人が贈る、妖怪退治珍道中をお楽しみあれ!
BL臭漂う、妖怪退治時代劇でございます。メインとなる二人は、退魔師・氷雨(至ってノーマル)と、真言密教僧・斎(氷雨に恋心を抱く危ない男)。氷雨が妖怪退治の旅に出ると言ったら、斎が勝手についてきてしまい、今に至るという関係。旅の最終目標などはありませんが、道中でとあるトラブルに巻き込まれ、物語の一応の軸となっていきます。…が、基本はこのメインの二人の関係に萌えるという作品ですかね。コメディというか、まんま「珍道中」という言葉が当てはまるような作風。

最初はおふざけでこういう態度を取っていると思っていたのですが、どうやらそうではないらしい。斎に耐えられるかが、男性がこの作品を読む上で重要なファクターになってくる。
なんといっても斎の存在感。これゼロサムなの?ビジュアル系のキャラがたくさん登場するのはこのレーベルのデフォなのですが、ここまでBL臭漂わせるキャラは珍しい。一応冗談めかした描写にしてあるものの、時折挟まれるネタは結構えげつないものがあり、「ああ、これBL特有のネタだよね~」という感じが。そんな濃いキャラ・斎がいるにも拘らず、この作品がそこまでBLっぽさを出してこないのは、相方である氷雨のキャラによる所が大きいのでしょう。これでもかとアプローチしてくる斎を、軽くあしらい、シリアスな場面では友情を全開にしてくる。ここまでやられたら、斎はそれに迎合せざるを得ないという。良いコンビです。
ちなみにこの作品、前作が存在します。今は亡きビブロス出版から刊行されていた「東海道HISAME」がそれにあたるのですが、出版社の倒産と共に、一迅社へ移籍したという形。ただし前作を読んでいないからと言って、ストーリーがわからないということはありませんのでご安心を。
【男性へのガイド】
→推すとしたら、楽しげな雰囲気という一点のみ。BLっぽさもありますし、男性が食いつくには少々ハードルが高いか。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→こういう雰囲気の作品にそこまで楽しみを見出せない男なんです、すみません。
作品DATA
■著者:松永空也
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:WARD(平成18年vol.13~連載中)
■既刊3巻
■価格:各552円+税
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