このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2009.07.30
07224129.jpg藤中千聖「王様の裏シゴト」


気づいてしまいました
紙の上に載ってない恋に



■横暴俺様男子・椎名君にいつもイジメられているミユウ。それと同時に椎名君は、「俺を好きになれ」なんて言ってくる。そんな本気なのか冗談なのかわからない彼の言動に悩まされるミユウを、いつも癒してくれるのは、一色ナナ先生のマンガ「恋海」と、その主人公・ユージ。ところがある日、椎名君がその愛しの一色先生であることを知ってしまい、大ショック!!オマケに彼のパシリまでするハメになって…!?

 嫌いな男子は、実は憧れの少女漫画家だった…というラブコメ。ヒロインは、マンガの世界に夢中なオタク気質のミユウ。そんな彼女にちょっかいを出してくるのが、同じクラスの男子・椎名君。「俺を好きになれ」なんて言う割に、ミユウをいじめてばかりで、なかなかミユウに振り向いてもらえません(そりゃそうだ)。そんなある日、プリントを届けに来たミユウに「恋海」の原稿を見られてしまい、一色ナナであることがバレてしまいます。さらにテンパったミユウは、あろうことか原稿に水をぶちまけてしまいます。それをいい事に、椎名君はミユウをパシリとして任命。そこから二人でいる時間が増え…という流れ。


王様の裏シゴト#9825;
俺様キャラだがうたれ弱い。というかミユウの憧れが、「恋海」の主人公だとわかっているのだから、それを実践すればいいんじゃないの?しかしながら行動を見る限り、そんなことは到底出来ないような不器用っぷり。やっぱそれは無理なのか。


 小学館の新人さんは、大体3話連載からスタートするのですが、その場合、1話目でくっつくいてカップルの苦難を描くか、3話目でくっついて、恋愛成就でよかったねというどちらの展開が多い印象があります(2話でカップル成立だと、どっちつかずになってしまうため?)。このお話は、1話目でカップル成立するのですが、それが結果的に悪い方向に出てしまったかなぁという感じ。いやでもこの設定だと致し方ないのか…。フラフラしつつも2話目まではそれなりのラインを保っていたのですが、3話目がまさかの超展開。いやいやこれはどうだろう。そこまで派手に展開せずとも、お金持ち設定のある椎名君だったら、他にもネタがあったろうに。


【男性へのガイド】
→男にはちと厳しいか。
【私的お薦め度:☆☆   】
→3話目の超展開には度肝を抜かれた。ただこれ設定が悪かっただけで、もっと練り込んだ設定の話を描かせたら、絶対に良いレベルまでいくと思うんだけどなぁ。


作品DATA
■著者:藤中千聖
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('09年第10号~12号)
■全1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「Sho-Comi」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。