
報われない片想いを続けるより
本当のことを知って
諦めたほうがいいんじゃないかな…
■読切り5編を収録。では、表題作をご紹介。
図書委員のあずさには、最近気になる人がいる。放課後になるといつもやってきて、必ず決まった席に座って、窓の外を眺めている男の子。彼の名前は岩崎くん。図書館という場所にはは少し似つかわしくなく、茶髪でピアスをしている。最近わかったのは、恐らく彼は、好きな人を見るために図書館に来ているということ。そんなある日、彼の好きな人が、自分の親友だということを知ってしまう。募る想いと、決して叶わないという絶望…そしてあずさはついに…!?
デビュー作である前作「罪恋」(→レビュー)がなかなかに素敵なお話だった吉永先生。今回も、女の子たちの等身大のピュアラブを描いた、ベツコミライクな作品集となっています。帯には「危険度MAXな作品集」と書いてありますが、いや、危険度はゼロだろむしろ、と。俺様キャラの男の子は出てきませんし、ちょっとクールな男の子が出てくるぐらい。特別なシチュエーションは皆無で、日常から持って来たような設定が多めです。それと、前作に比べてヒロインのキャラに幅が出ましたね。

なんてことない状況でも、描き方次第ではトキメキを生み出す要素になる。
吉永先生の2作目ですが、なんとなく地味ですよね。ベツコミの作品は全体的に派手さがないのですが、それにつけても地味な気がします。なんでだろ。いや、それでもトキメキがあるから良いんですが、もっと明るい感じを出しても良いなぁ、と。多分恋愛一本の時に、想いを自覚→無理と知り絶望というリズムで、ワンパターンになってしまっているのが影響しているのかも(食傷という読み手の問題?)。そういった展開も仕方ない読切りではなく、色々できる連載になったら、その辺は解消されるかも。きっと友情描写が欲しいんだ、私は。ページ数の多い5話目は、恋愛絡みであったとはいえ、友情が描かれており、イイ感じでした。リズムを変えつつ密度を濃く…なんて無理すぎる期待か(笑)ただそれだけ期待しているということで。とりあえず連載が見てみたいですね。ベツコミさん、お願いします。
【男性へのガイド】
→男性にとってプラスになる地味さではない気が。それでも一定の読みやすさはあるとは思いますけど。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→さすがのクオリティですが、デビュー作ほどのインパクトがなかったのは、読む側が慣れてしまったからかな。なんにせよ変化が欲しい所。次回作に期待しつつ。
作品DATA
■著者:吉永ゆう
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ(2008年8月号ふろく,12月号,2009年5月号ふろく),デラックスベツコミ(2007年秋の超!特大号,2009年春の超!特大号)
■全1巻
■価格:400円+税
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