
責任とってよ
中途半端じゃなく
あんた私を守りなさいよ
牛男の魔の手から
■3巻発売しました。
「清流の青田新名、がっこう帰りに拉致りました」親友の正行から、突然そんなことを聞かされた厚志。どうやら二人をイジメている牛島にけしかけられ、通学中に気になっていた清流学園の生徒・青田新名を拉致監禁してしまったらしい。(さすがにこれはまずいだろ…)牛島の影にビビりつつも、弱々しい正義感を発揮した厚志は、思わず彼女を連れて外に逃げ出してしまう。なんとか事無きを得たはずが、後日青田新名の友人に見つかってしまい、何故か彼女の元へ謝りに行くことに。そして厚志を目の前にした新名は…!?
少女マンガ界でも大御所になりつつあるいくえみ綾先生の、Web連載の作品でございます。あらまし紹介のあとに、抜粋した台詞が。拉致監禁した人間の仲間なのだから信用は置けないが、一番コワいのは主犯の牛島(厚志と正行をイジメている)らしい、ならばそいつから私を守れ、と。厚志たちは高校1年生で、新名は2年と、拉致の被害者というだけでなく、年齢的にも立場は上。性格的にもSッ気があるため、厚志はいいように使われるようになります。まぁ厚志も新名に好意を持っているので、こんな関係ではありますが、ギブアンドテイクは成立しているという。この新名との奇妙な関係を中心に、親友・正行や、イジメっ子牛島との関係など、一風変わった厚志の青春の日々を描き出していきます。

基本的に気が強いニーナ。のせたらコワいが、落ちるとカワイイ。
いくえみ綾の作品ではあるものの、いくえみ綾の作品ではない。多分、ファンの見解はこれで一致するでしょう。いくえみ綾作品の特徴と言えば、日常の風景の中から、登場人物達の心情を深く描き出すというところにあると思うのです(あくまで特徴の一つに過ぎませんが)。それ故に、中身たっぷりで美味しいんですが、この作品に関しては、「状況がめまぐるしく変化する割に、心情描写・人物描写がちょっと薄い」みたいな印象があります。私はそれでも楽しめているんですが、Amazonを見ると、そういう意見がチラホラ。評価にバラツキがあるのは、いくえみ綾作品をどれだけ愛しているかって部分が大きいのかな、と。
あとこれ、古谷実の「シガテラ」とメチャクチャ被ってますよね?そう思いませんか?話の展開は別として、人物の配置が。いじめられている主人公と、同じくいじめられている親友(小太り)、さらにイジメっ子が退学になるシチュや、いじめられているけど守るべき存在はいるという辺。それからヒロインの友達もキャラ被ってる気がしますし。それでもストーリーが全く違う方向に進んでいるのは、作者さんの志向の違いと、ヒロインの性格的な違いによるものなんでしょうかね。「シガテラ」は、読んでいて痛いものの、個人的には恋愛マンガNo.1だと思っておるのですが、「いとしのニーナ」はむしろ読んでて気持ちが良いマンガ。ニーナがね、Mっ気のある男からするとたまらないんですよ。
【男性へのガイド】
→いくえみ作品は男性にも読みやすいです。この作品もご多分に漏れず。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→いろいろネックな部分はあると思うのですが、なんだかんだで面白いラインにありますし、何よりニーナが好きなので。
作品DATA
■著者:いくえみ綾
■出版社:幻冬舎
■レーベル:BIRZ COMICS DELUXE
■掲載誌:Webスピカ(2005年1月号~連載中)
■既刊3巻(4巻で完結予定)
■価格:各800円+税
■購入する→Amazon