作品紹介はこちら→*新作レビュー* 津田雅美「ちょっと江戸まで」
津田雅美「ちょっと江戸まで」(2)
それでいうと
わたしってなんなんだろう
■2巻発売しました。
中学校に入学し、武家コースの授業を受けるそうびと廸聖。男の子だけどとっても可愛らしい廸聖は、そうびという味方をつけて、やりたい放題。そしてそうびはというと、女の子で農民出身だというのに、男の子の格好をして武家クラスに通う自分について、思い悩んでいた。もっと女の子らしい格好をすべき?農民の出なのに、武家クラスなんかに通っていて良いのだろうか…しかしそんなことを考えている暇は、そう多くない。今日もまた、廸聖ぼっちゃまが、なにか厄介事を持ってきたようで…
やっとこさ2巻。LaLaが刊行ペースゆっくりなのはわかっているのですが、さすがに内容忘れちゃうよ、なんてこともままあったりするわけで、それも問題だなぁ、と。さて、一風変わったお江戸コメディである本作ですが、「彼氏彼女の事情」「eensy-weensyモンスター」とは少し描こうとしていることが違うのかな、というお話を。
津田作品の特徴(?)の一つとして、主人公やメインキャラ達が、自問自答を繰り返して変化をしていくというものがあります。ここでポイントとなるのは、「成長」ではなく「変化」であるといいうこと。「成長」でもいいのですが、それだと軸そのままに、上にどんどん積み上げていくイメージなのですが、津田作品のキャラ達は、元あった土台で同じスタイルのまま積み上げていくというよりは、何度も崩し積み上げを繰り返し、自分という人間を形にしていくというイメージがあります。長期連載だった「カレカノ」の宮沢さんや、有馬くんはもちろんのこと、短期連載だった「eensy-weensy」の二人にも、明確な変化が見てとれたように思います。自分のことを強く考え、そして試行錯誤していくという。あたりまえの現象のように思えるかもしれないですが、意外とそういうキャラって少ない気がするんですよね。変化のニュアンスが違うと言うか。

悩むそうび。
そしてこの「ちょっと江戸まで」ですが、2巻に収録されている始めの2話分で、ヒロインであるそうびが自分の存在について自問自答しはじめます。女の子らしい格好をしたほうが良いのか、武家にいてよいのか…と。そしてついに、女の子らしく振る舞おうと、お化粧や着物にチャレンジするのですが、あまりの美少女オーラを放つ廸聖の前に、やる気が吹っ飛び、結局挫折。果ては進級祝いにと、脇差までプレゼントされる始末。結局「そういうことを考えるのは、まだ先でいいや」、という結論に繋がっていきます。その2話以降は、お江戸の人物・生活にスポットを当てたドタバタコメディになっており、「あー、もうこれは変化していかない方向なんだな」と。変わりたいそうびと、そんなこと気にしない廸聖という対比で話を展開するのも楽しみだったんですが、それを許さないほどに廸聖のキャラが勝っていたってことなんでしょうか。13歳なんていったら、否が応でも変化していってしまう年頃なんですが、敢えてそれを無視するような作りにしているのは、非常に興味深いです。「変わらないことの良さ」をどれだけ出していけるか、そこに注目しつつ3巻を待ってみましょうか。
■購入する→Amazon
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それでいうと
わたしってなんなんだろう
■2巻発売しました。
中学校に入学し、武家コースの授業を受けるそうびと廸聖。男の子だけどとっても可愛らしい廸聖は、そうびという味方をつけて、やりたい放題。そしてそうびはというと、女の子で農民出身だというのに、男の子の格好をして武家クラスに通う自分について、思い悩んでいた。もっと女の子らしい格好をすべき?農民の出なのに、武家クラスなんかに通っていて良いのだろうか…しかしそんなことを考えている暇は、そう多くない。今日もまた、廸聖ぼっちゃまが、なにか厄介事を持ってきたようで…
やっとこさ2巻。LaLaが刊行ペースゆっくりなのはわかっているのですが、さすがに内容忘れちゃうよ、なんてこともままあったりするわけで、それも問題だなぁ、と。さて、一風変わったお江戸コメディである本作ですが、「彼氏彼女の事情」「eensy-weensyモンスター」とは少し描こうとしていることが違うのかな、というお話を。
津田作品の特徴(?)の一つとして、主人公やメインキャラ達が、自問自答を繰り返して変化をしていくというものがあります。ここでポイントとなるのは、「成長」ではなく「変化」であるといいうこと。「成長」でもいいのですが、それだと軸そのままに、上にどんどん積み上げていくイメージなのですが、津田作品のキャラ達は、元あった土台で同じスタイルのまま積み上げていくというよりは、何度も崩し積み上げを繰り返し、自分という人間を形にしていくというイメージがあります。長期連載だった「カレカノ」の宮沢さんや、有馬くんはもちろんのこと、短期連載だった「eensy-weensy」の二人にも、明確な変化が見てとれたように思います。自分のことを強く考え、そして試行錯誤していくという。あたりまえの現象のように思えるかもしれないですが、意外とそういうキャラって少ない気がするんですよね。変化のニュアンスが違うと言うか。

悩むそうび。
そしてこの「ちょっと江戸まで」ですが、2巻に収録されている始めの2話分で、ヒロインであるそうびが自分の存在について自問自答しはじめます。女の子らしい格好をしたほうが良いのか、武家にいてよいのか…と。そしてついに、女の子らしく振る舞おうと、お化粧や着物にチャレンジするのですが、あまりの美少女オーラを放つ廸聖の前に、やる気が吹っ飛び、結局挫折。果ては進級祝いにと、脇差までプレゼントされる始末。結局「そういうことを考えるのは、まだ先でいいや」、という結論に繋がっていきます。その2話以降は、お江戸の人物・生活にスポットを当てたドタバタコメディになっており、「あー、もうこれは変化していかない方向なんだな」と。変わりたいそうびと、そんなこと気にしない廸聖という対比で話を展開するのも楽しみだったんですが、それを許さないほどに廸聖のキャラが勝っていたってことなんでしょうか。13歳なんていったら、否が応でも変化していってしまう年頃なんですが、敢えてそれを無視するような作りにしているのは、非常に興味深いです。「変わらないことの良さ」をどれだけ出していけるか、そこに注目しつつ3巻を待ってみましょうか。
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