
今回のことで世界が広がったカンジ
自分のコトもそうだけど…
世の中には
あたしの知らない事がいっぱいあるんだ…
■人に見えないものが見える能力、つまり霊能力を持つ少女・天ノ川月子。彼の父・臣は、強い霊能力を持っており、不思議なことに関する事件・相談などの解決をお仕事にしている。そんなある日、一人の子供から依頼の電話がかかってきた。「友達が姿を消してしまったの…」。遠い場所、子供からの依頼、普通だったら断るような案件だったが、臣はなにかの匂いを感じとり、月子をその村へと送り込む。渋々向かった月子だったが、やはりそこには臣の予想通り、怪しげな空気が漂っており…!?
先月発売だったのですが、遅れてレビュー。姫神ヒロ先生の3冊目、初連載作品だそうです。ヒロインは、霊能力者の女の子・月子。同じく霊能力者で、その力を使ってシゴトをしている父・臣と共に暮らしています。そんなある日舞い込んできた一件の依頼をきっかけに、彼女の生い立ちと、これからの目標が浮かびあがってくるという、そんな構成の妖怪物語になっています。要は妖怪退治のお話なんですが、そこに人間の感情を交えて、さらにヒロイン自身に妖怪と関係のある生い立ちを用意することで、全体として大きな物語を機能。一応相手役の男の子も登場しますが、恋愛色はほぼなしという状態。それでも十分まかり通るのは、マーガレットゆえか。

白熱のアクションシーンあり〼。
絵が上手で、かつ安定しているので、良いですね。またアクションシーンを組み込むなど、全体のテンポも良く、非常に読みやすい作品に仕上がっています。作品のイメージだけなら新書館とか一迅社っぽいんですが、人の感情に訴えかけるような感動系の方向に持っていく辺は、「あぁ、集英社っぽいなぁ」という感じ。
ただそれゆえに、若干詰め込みすぎたかな、という印象も同時に受けました。全4回2話という構成で、2回目からラストへ向けての伏線が仕掛けられるなど、全体の設計は実に計画的。ただ使った素材が悪かった。これを全2話で料理するのはちょっと無理だろう、というような重ための設定を用いてしまったので、今ひとつ感動が湧き上がってこないという。妖怪退治に関しても、ヒロイン自身は何もしていないわけで、それでラストに感動を持っていってもなぁ、という。いや、少女マンガならそれもアリなのかもしれないですが、全体的な話運びはどちらかと言うと少年マンガ的で、だとしたら自分の力でどうにかして大円団に持っていきたいじゃないですか。
ただこれ、単に1巻完結にしちゃったからこうなってしまったわけで、これが全2巻だったら全然違ったんだろうな、と。骨格だけ見せられて、肉無いじゃんという状況。骨格がしっかりしている分、肉付けの余裕がなかったことが、余計に悔やまれます。全体的に好きな雰囲気なので、これからも追いかけてみたいとは思いますけど。
【男性へのガイド】
→少年誌でもギリいけるぐらいのテイスト。読みやすいと思いますよ。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→余裕があるからこそ物語は面白くなるというか。普通だったら☆3ぐらいつけても良いと思うんですが、こんなもんじゃないはず!という想いを込めて。もったいないという感じ。
作品DATA
■著者:姫神ヒロ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット(平成21年2月号~5月号)
■全1巻
■価格:400円+税
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