
わたしが欲するのは 例えるなら
稲妻が体を貫くような 衝撃・熱・閃光
もっと もっと
目が回るほど 息が止まるほど 震えるほどに
■8巻発売しました。
小6の夏芽は、ティーン向けのファッション誌で活躍するモデル。評判も上々で、順風満帆。ところが父親は、娘のモデルの仕事に大反対。ついには東京から家族を連れて、故郷の田舎に越してしまう。東京とはあまりに違う環境、ついこの間までいた友達がいもういない・・・あまりに突然の出来事に戸惑いを隠せない夏芽だったが、ある夜不思議な少年に出会い、気持ちが大きく揺れ動かされ…!?
せめぎあい、追い上げ、追い込んでいく、破裂寸前の十代の、まさしく"ナイフ”のようなこころを描いた、ジョージ朝倉先生の代表作です。待ちに待った8巻発売でございます。メインで描かれるキャラは二人。まずはヒロインの、望月夏芽。東京でティーン向けのファッションモデルをしていたほどですから、その容姿は同世代では群を抜いています。それが田舎に来ることで、良くも悪くも一際目立つように。そんな彼女の心を掴んで離さないのが、長谷川航一朗。夏芽が越してきた田舎一帯を仕切っているような有力な家の一人息子で、彼もまた夏芽と同じように、一際強い存在感を放っています。そんな二人が、お互いのむき出しの感情を、相手に自分にぶつけ合い、惹かれていくというお話。物語は二人が小6の時から始まりますが、現在はお互いに中3。作者のジョージ朝倉先生曰く、ナイフというのは「十代の自意識」を表しており、現在はその要素が一番強く出ているところと言えるのではないでしょうか。

出会い。色々キャプする所を探っていたのですが、候補が多すぎて逆に選びきれなかった。
この「溺れるナイフ」なんですが、私の周りで異常に評判が良いんですよね。私と親しい少女マンガ読みの友人2人は、どちらもこの作品を、「連載中の少女漫画では一番好き」と言っています。確かに私もこのお話大好きで、素晴らしい作品だと思っていますが、友人2人に「一番好き」とまで言わしめるとは。ちなみにその2人に、どこが好きなの?と聞くと、こうちゃん(長谷川航一朗)一択だ、と。なるほど、その友人は共に女性なのですが、女性からするとこうちゃんというキャラはとてつもなく魅力的に映るのか、と。元のストーリー+こうちゃんの魅力で、ダブルパンチというわけですね。私はどちらかというとこうちゃんの魅力がわからないクチなので、その底上げがない分好きの度合いに差が出るんでしょう。ちなみに私は大友一択です。もうね、かませっぽい匂いしかしないという(笑)それでも7巻8巻では大活躍です。これは嬉しい誤算。いや~頑張ってほしいなぁ。
ストーリー展開や、キャラの設定だけを説明すると、なんてことはない少女漫画のように映るのですが、作品そのものには本当にエネルギーが溢れていて、いざ読み始めると、そのパワーに終始圧倒されます。「とにかく読め」というのが、もしかしたら一番良いお薦めの言葉なのかもしれないですね。「平凡ポンチ」や「カラオケバカ一代」のように、どこかアヴァンギャルドな匂いを漂わせる作品や、「ピースオブケイク」(→レビュー)のように、落ち着いた大人の恋愛(最後は暴走したけど)を描かせて良いですが、やはりジョージ朝倉の真骨頂は、少年少女の尖った感情むき出しのラブロマンスにあると思うのです、うん。
【男性へのガイド】
→男性もOKだと思います。むしろ超絶にハマる人が出てきてもおかしくない。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→レビューするにあたって改めて読み直したのですが、やっぱりジョージ朝倉って人は凄いですね。文句なしにお薦めします。
■作者他作品レビュー
ジョージ朝倉「ピース オブ ケイク」
作品DATA
■著者:ジョージ朝倉
■出版社:講談社
■レーベル:KCベツフレ
■掲載誌:別冊フレンド(2004年11月号~連載中)
■既刊8巻
■購入する→Amazon