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2009.08.13
セーブルプリンスネスミチサト「セーブル・プリンス」(1)


では決まりだな
私に仕えろピエル



■1・2巻同時発売で、完結しました。私は1巻のみの購入なので、そこまでのレビューということで、一つよろしくお願いします。
 フルーク国の王子・ヴィロフティーラは、病床に伏せる父親の代わりに行った国民への挨拶の際、勝手に王位継承、そしてそのための儀を行う予定だと発表してしまう。王位継承には、王子が身分を隠して各国を回り、自分にふさわしい剣を見つけてくることが必要となる。その旅のお供に選ばれたのが、つい先日護衛に任命されたばかりの青年・ピエル。横暴な王子にいつも振り回される、新米従者のピエル。即席デコボココンビが繰り広げる、トラベルファンタジー開幕!

 自分にふさわしい剣を見つけるために、旅に出た王子と、その従者に選ばれた青年を軸に繰り広げる、トラベルファンタジーです。事の発端は、王子が勝手に王位継承を国民に発表してしまうことから始まります。そのためには、しばらくの間国を離れ、旅に出なくてはならないので、家来たちとしてはなるべく控えてもらいたいところ。ところが傍若無人な王子は、そんなことはお構いなしに、事を進めてしまいます。そこで旅の従者として選ばれたのが、つい先日王子の護衛に任命されたばかりの青年・ピエル。結局この二人だけで旅に出発するのですが、トラブルメーカーの王子と、押し弱い青年というコンビですから、なかなかスムーズな旅にはなりません。行く先々でトラブルに巻き込まれ、なんだかんだで手助けをしてしまう。それが結果的に剣へと導く出来事になり、また一緒に乗り越えることで、絆も強まっていくというスタンダードな流れになっています。

 王子を含めフルーク国の王族は、人間でない種族の血が混じっており、背中に翼が生えています(悪魔っぽい感じの)。剣を求めて旅をするというのは、王位継承の際に、王の翼をその剣で切り落とすということがしきたりになっているため。2巻を読んでいないのでなんともいえないのですが、たぶん剣というのはさほど重要な要素ではなく(物語の道筋を示す案内板程度の役目)、王族に悪魔の血が入っているというのが一つのキーとして機能してくるのでしょう。また単純な珍道中ではなく、従者のピエルにはちょっとした裏があり、最終的にその部分で物語が機能してきます。たぶん刺客かなんかじゃないのかな。

 いつも同じメンバーで話をまわすのではなく、行く先々で一発キャラを用意し、トラブル解決しながら、最終的に一つの大きな物語の決着がつくという形。なぜかその一発キャラは、高確率でロリっぽい女の子なのですが、アヴァルスで需要あるのだろうか?他の作品と比較してみても、特徴的なのはそのぐらいで、どこか既視感漂う作品になってしまっています。女の子+水戸黄門的な形だけで読者を引っ張れればいいのでしょうが、それだけだとちょっと厳しい気も。物語の流れは分かりやすくて良いんですけど。


【男性へのガイド】
→主軸は腐向けも、脇を固める幼女でその雰囲気を緩和。結局どっち狙いなのかよく分からないんですが、レーベル的なことを考えるとやっぱり男には向かないのか。
【私的お薦め度:☆☆   】
→なんとなく先が読めてしまう感じで、いまひとつ入り込めませんでした。



作品DATA
■著者:ネスミチサト
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:ブレイドコミックアヴァルス
■掲載誌:コミックブレイドアヴァルス(2008年10月号~)
■全2巻


■購入する→Amazon

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