
よーし決めた!
オレがテメーに
生きてることが楽しくてしょーがねぇって言わせてやるよ
■第1回金のティアラ大賞・特別賞クッキー賞受賞の表題作他、読みきり4作を収録。
それでは表題作をご紹介。「早朝の桜って、キレイだな。よし、死のう」いじめに耐えかねて、自殺を決意した、高校生のサチ。いざビルの上から飛び降りようとした瞬間、なぜか上から男が降ってきた。え、先を越された!?と思ったら、どうやらその男・レイ(勝手に名づけた)は幽霊らしく、自分にしか彼の姿が見えないらしい。自分の姿が見えるサチに興味を持ったレイは、その後もサチの後をついてまわり、自分の正体を探ってほしいと頼んでくるが…!?
第1回金のティアラ大賞で、特別賞クッキー賞を受賞した作品です。ちなみに大賞は、一足お先にコミックス化されています(片山あやか「Star man」)。あらまし紹介からもわかるように、内容はファンタジー。大賞の「Star man」もぶっ飛んだ設定のコメディだったのですが、こちらも負けず劣らずぶっ飛び気味の設定。読み始めたときは「なんだ、金のティアラ大賞ってのは所詮アイデア勝負のイロモノアワードなのか…」なんて思っていたのですが、いやこちらもなかなか面白い。受賞も納得です。逆に言えば、それだけの設定でもしっかり回せるだけの腕があるってことですもんね。
また同時収録の読みきり3編のうち、2編がファンタジー要素全開の設定。「ポイズン・エンゼル」は、人間嫌いの天使が、上司(大天使?)の怒りに触れ、人間として下界に送り込まれてしまうというお話。また「マジョマオ!」は、ド天然系の魔女がとある高校に潜り込み、目当ての携帯電話(悪魔が封印されている)を見つけ出すという設定のお話。説明だけだと変り種すぎるファンタジーのように思われるかもしれないですが、どのお話も舞台となるのは高校。帯に「スカッと爽快!!」とあるように、全体的に非常に明るくポジティブで、爽快感のある作品群となっています。終始高めのテンションで、畳み掛けるように話を展開、基本はコメディで、時折ギャグよりのネタも織り交ぜるといった感じ。絵も設定も、どこか“子どもっぽさ”を匂わせるのですが、それがまた良い意味で作者さんの色を出しているように思います。大味なのは、キャリアと共に改善されていくでしょう…多分。レーベルはクッキーですが、果たしてクッキーに馴染むのか、それだけが気がかりといったところ。
【男性へのガイド】
→好き嫌いは別として、読みやすさは間違いなくあるんじゃないでしょうか。粗いのが嫌いだというのでしたら論外ですけど。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→荒削りさが逆に魅力のような気もするのですが、今後どう進んでいくのか。これからがいろいろな意味で楽しみです。
作品DATA
■著者:堀乃月
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックスクッキー
■掲載誌:クッキー(平成20年6月号,12月号),クッキーボックス(平成21年春号),ザマーガレット(平成21年7月号)
■全1巻
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