このエントリーをはてなブックマークに追加
2009.08.19
07106384.jpg池野恋「ときめきミッドナイト」(1)


生まれて本気で好きになった人は
なんと魔界の王子様だったなんて…
何かが起こりそうな
胸騒ぎのミッドナイト



■9巻発売、完結しました。
 江塔蘭世は普通の高校生。最近、亜論という彼氏も出来て、毎日順調そのもの。けれど心の中では何故か、運命の出会いを求めてしまう。そんなある日、真柴シュンという男の子が転入してくる。容姿端麗で、運動神経も抜群。すぐに学校の女子達の心を掴んでしまった。その一方で、オカルトに興味を持ち、やたらと亜論につっかかってくるなど、不思議な面も多い。そんな彼に、どうしても興味を惹かれた蘭世だったが…!?

 名作「ときめきトゥナイト」のリメイク版、ついに完結ですか。スピンオフではなくリメイクなので、そこんとこよろしく。「トゥナイト」既読の方には説明は不要かもしれませんが、読んでいない方もかなりいらっしゃると思うので、ストーリーを説明しましょう。
 
 ヒロインは、普通の女子高生・江塔蘭世。「トゥナイト」では魔界人という設定でしたが、今回は人間という設定(これらの変更点については後でまとめてご説明)。そんな彼女の前に現れたのが、転校生の真柴シュン。実は彼は魔界の王子で、生まれた時に人間界に捨てられた双子の弟を殺すために人間界に降り立ちました。その双子の弟というのが、蘭世の彼氏である亜論(ただし本人には自覚が無い)。そのことを知った蘭世は、当然のことながら大反対します。兄弟で殺しあいというだけでも悲しいのに、それが二人とも大事な人であるのなら、なおさらのこと。そんな蘭世の懇願に心動かされたシュンは、父親に直談判し、亜論を殺すのではなく、監視して、不穏な動きを見せ次第殺すという条件に変更してもらうことに成功。それと同時に、人間界で悪さをする魔族を取り締まるという使命を仰せつかります。シュンはその流れでなぜか蘭世の家で一緒に暮らすようになるわけですが、それもまた恋愛要素を盛り上げる良い要素に(もう説明不要だとは思いますが、蘭世はシュンに惹かれていく)。
 

ときめきミッドナイト
真壁俊ではないとはいえ、その系譜を受け継ぐ男。お姫様抱っこもさすがにしっくりくる。


 ちなみに「トゥナイト」からの主な変更点は以下の通り。説明するとか言っといて、Wiki抜粋とかもうね、レビュアーの風上にも置けないですよ、ほんと。

* 蘭世とその一家が人間になっている。これに伴い、前作初期にみられた「蘭世の変身によるドタバタコメディ」の要素はなくなっている。
* 蘭世、シュン、鈴世、瑤子の髪の毛の色が入れ替わっている。(前作で黒系だった人物は茶・金系)
* 「不吉な双子の王子」の言い伝えに基づくシュンとアロンの役割が入れ替わっている。
* 冥界に関する設定が大きく異なっており、前作のストーリーの根幹であった「冥界人による魔界(を含む他の世界)の侵略」は行われていない。クライマックスでは人間・魔界人・冥界人が協力することによって事件を解決していくストーリーになっている。
* 人間界と魔界を行き来する方法が、前作では江藤家の地下室のドアからだったのに対して、本作では「ヤリ」のようなもので空間を刺すことによって行き来する。

 
 これってクッキー連載なんですよね。りぼん連載でも余裕でいけそうとか思っちゃうのは、この作品がストライクだった世代だからこその勘違いなんでしょうか。いや、そんなことはないと信じたい。ちなみに「トゥナイト」読んでるからって旨味が増す、もしくは減るなんてことはあまりないように思います…って書こうとしたら、Amazonでは酷評が目立つ(笑)やっぱり好きな人にとっては、嫌なのか。問題なしと思ってしまうのは、私が「トゥナイト」よりも先に「ミッドナイト」を読んだというのが影響しているのかもしれません(蘭世編に関して)。「トゥナイト」はリアルタイムで読んでいましたが、蘭世編はリアルタイムで読める世代ではなく、こちらから入るという形になっていたので。それと真壁俊をシュンが越えることができなかった(と私は思う)というのも、Amazonレビュアーに多分に影響しているに違いない、きっと。


【男性へのガイド】
→もろに少女マンガではあるのですが、だからこそ逆に良いってことはありませんかね?
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→「トゥナイト」からのファンはきっと「ミッドナイトではなくトゥナイトを読め」と言うはず。それでも一定の面白さがあります。その辺はさすがベテランといったところ。


作品DATA
■著者:池野恋
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックスクッキー
■掲載誌:クッキー(平成14年6月号~)
■全9巻

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「Cookie」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。