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Tag [オススメ] [新作レビュー] [読み切り/短編] 2009.08.19
07225500.jpg霜月ミリ「カエデの恋」


やっぱりアタシにはあるんだ
みんなを癒す
フシギなチカラ



■第1回金のティアラ大賞・銀のティアラ賞受賞作である表題作を含む、読切り6編を収録。
 人を癒す不思議なチカラをもつカエデ。「ちっちゃいしかわいー」「癒しのために生まれてきたようなもの」そんな言葉を、友達たちはかけてくれる。そんなカエデには、想いを寄せる一人の男の子が。別のクラスのケイタくん。親友であるアズサの彼氏なのだが、最近彼のとある秘密を知って…!?

 第1回金のティアラ大賞で、銀のティアラ賞を獲得した作品でございます。ちなみに金のティアラ賞はこちら(→片山あやか「Star man」)で、クッキー賞はこちら(→堀乃月「幸福ダイブ」)。金のティアラ大賞関連作品につけられる金色の帯は、嫌でも目を引くのですが、そこに書かれている審査員達の言葉に、さらに心まで引かれていきます。一条ゆかり先生「唯一結末が読めなかった作品」、矢沢あい先生「見せ方を心得た構図とコマ運びが秀逸」、松尾スズキ先生「女子らしい発想のオチに驚いた」etc...「結末が読めない、女子らしいオチって…!?」なんて異様にワクワクしながら読みはじめたのですが、なるほど、これが読めない。発想としてはあるのですが、読むことは出来ないという感じ。前述の2作品が、どちらかというとテンション高めの勢い系だったのに対し、こちらは静の部分がやや強めにでたしっとり系のお話となっています。


カエデの恋
絵柄は独特。受け付けない人もいるかもしれませんが、いい味出してると思います、うん。


 各作品の共通で感じとれたのは、「今をしっかり受け入れて、精一杯楽しんで生きよう」というイメージ。どれもオチが前向きで、読んでいて気持ちいいですね。逆に言えばワンパターンなのかもしれないですが、そんなものはこれからいくらでもカバーできる…と思う。暗い部分は描いていますが、まだ汚い部分は描いていないので、そういったものを描いたらどうなるのかも見てみたいって、これからどうなるかなんてわからないですけど。


【男性へのガイド】
→気恥ずかしさすらある真っ直ぐっぷり。だがそれが良い。男女というよりも年齢的な部分がポイント?
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→個人的に好き。新人さんのレベルの高さは白泉社が群を抜いてると思ってたのですが、集英社もスゴいです。金のティアラ大賞関連の新人さんは、皆さんチェックしておいて損はないと思いますよ。


作品DATA
■著者:霜月ミリ
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックスクッキー
■掲載誌:クッキー,クッキーボックス,ザマーガレット
■全1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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