
宝物を探している
ひとつめに見つけたのは
「仲間」という宝物。
■アルバフォレスト王国の王宮に届いた、一通の予告状。そこには、今は亡き国王が、愛娘・バイオレットに遺した財宝を頂くとの内容が記されていた。送り主は、巷を騒がせている3人組の盗人連中“三獣士”。財宝に心当たりの無い女王と側近は、疑問に思いつつも警備を固めるも、そんなことはお構いなしに、姫・バイオレットは城内を闊歩する。父が亡くなって以来、何かにつけて部屋に閉じこめられるようになった彼女は、毎日が退屈で仕方ないのだ。そんな彼女の前に、三獣士のひとり・鴉が現れる。彼との出会いが、その後の姫の運命を、大きく変えることになるーーー
作者さんの初コミックスとなります。帯には「超大型新人、誕生!」の文字が。これはまた強気に来ましたね~。こんなの単なる宣伝文句でしょ?なんて思われるかもしれませんが、やっぱり自信が無ければここまで堂々とは書いてきません。どの程度下駄を履かせているのかは知りませんが、私は基本的にこういう言葉は素直に受け取るようにしてます、はい。さて、じゃあ実際中身はどうなんだ、ということですが、宣伝文句に違わない画力と話運びでございますよ。
ストーリーは、姫と盗賊のファンタジック冒険ロマンス。冒険家だった父の血を引く姫・バイオレットは、盗賊を目の前にしていても立ってもいられず、ついつい後をついていってしまいます。盗賊からすれば迷惑千万なのですが、三獣士のひとり・鴉は、過去にバイオレットと会っており、その時のことを今でも大切な思い出として覚えているなど、まんざらでもない様子。その他の二人も、なんだかんだでバイオレットのことを気に入ってしまい、結局盗賊3人、姫1人という奇妙な組み合わせの珍道中がスタート。三獣士は各地の財宝を手に入れるため、姫は見聞を広めるために、一緒に各地を回っていきます。

一緒に行動するが、泥棒には加担させない。それが彼らなりのルール。バイオレット、大事にされてます。
恋愛に関して言えば、バイオレット×鴉の一択。他の二人(鍵開けを得意とするぶっきらぼうな朽縄,女性の扱いに長けた百面相のルナール)はあくまで保護者兼良い仲間という感じで、これまでも、これからもバイオレット争奪戦に加わってくることはないんじゃないかな、と思われます。じゃあ無風のままゴールインだね、なんて思ってしまうのですが、王家の従者・シドがどうもバイオレットに気があるようで、王国に連れ戻すという名目で執拗に4人の後を追ってきます。作中だと空気読めない存在として捉えられてしまうような気もするのですが、こういうキャラ大好きです、はい。人一倍純粋で、人一倍真面目だからこその行動、萌えるじゃないですか。またヒロインのバイオレットは15歳。その年齢に加え、ずっと城内に閉じこめられていたために、恋とは無縁の生活。そのため鴉への気持ちを恋と自覚するまでには少々時間がかかりそう。その辺もまたなかなか進まない恋路を良い意味で盛り上げる要素に。
ゴールが特に設定されていないので、比較的自由に話を展開できるのは良い所。「盗賊についていって、世界を知る」というスタートのさせ方は、ありがちでありながら、結構強い動機付けとして最後まで効いてきます。また話もわかりやすくなるので、これは上手。キャラクターもそれぞれ立っているので、読みやすいです。
【男性へのガイド】
→少女マンガらしさが出た冒険ロマンス。受ける印象ほど読みにくさはないと思いますよ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→クセもそれほどないですし、物語の流れ・キャラの個性もわかりやすくて面白い!白泉社のファンタジーはそれほど得意ではないのですが、これは次も買いたいです。
作品DATA
■著者:ミユキ蜜蜂
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:ザ花とゆめ(平成21年2/1号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
■購入する→Amazon