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Tag [新作レビュー] 2009.08.20
07225515.jpg日高万里「ベリーベリー」(1)


『秘密』ってある?
『許せないもの』ってある?
あたし達はね
あるよ!!



■外見そっくりの超仲良し双子、雪乃原くるみと紗々姫は今日から高校1年生。実は二人には、人に言えない大きな秘密が二つある。一つはテレパシーで会話できるということ。そしてもう一つは…。そんな二人が入学するのは、小さい頃に住んでいた街にある高校。幼なじみの樹里と逸美と一緒に、入学早々“女の子のためのお役立ち活動”を始めることにしたのだけれど…!?

 先日『V.B.ローズ』(→レビュー)の連載を終了させた日高先生の新作。今度はどんな話でくるのかと思ったら、双子ものですか。ヒロインは、人には言えない秘密を持つ、元気いっぱいな双子・くるみと紗々姫。大きな秘密の一つ目は、テレパシーで会話ができるということ。そしてもう一つの秘密とは、過去にくるみが誘拐されたということ。こういった過去が契機となって、高校に入学した二人は、この事件のことを知る幼なじみと共に、“女の子のためのお役立ち活動”を始めます。そんな彼女達に興味を持つのが、同じクラスの人気者の男子・近江業平くんと近江歌丸くん。パンツを見られるという劇的(?)な出会いを果たした後、何かにつけて彼女達の活動に首を突っ込もうとします。奇しくもこの二人、くるみと紗々姫とお隣さん同士(業平と歌丸は従兄同士で同居中)。1巻ではお隣さん同士での絡みはあまりみられないものの、これから増えてくるのかと思うとわくわく。


ベリーベリー
暗い過去があるからこそ、本人達も、周りの人達も、ここまで明るくなるのかも。基本は明るく楽しいコメディです。


 誘拐犯は未だにつかまっておらず、ゆくゆくはココ絡みで決着に持っていくと思われます。そのための足がかりに、お役立ち活動がなってくるのかな、という感じ。「女の子のためのお役立ち活動」というと、「好きな先輩に告白したいんですけど、どうしたらいいんですか~?><;」みたいな相談が寄せられ、奮闘するみたいなイメージをされるかもしれませんが、そういった活動はしません。受け持つ案件は、どちらかというと事件性の強いものが多く、犯人を懲らしめるというのがメイン。そうじゃないと誘拐犯の方に繋がっていかないものね。イメージは、お役立ちというか、シークレットサービスというか、少年探偵団というか…。おあつらえ向きに、歌丸の父が警察官だったりするので、物語的な広がり・繋がりも持たせてあります。というか、それ以上に双子がパワフル&フリーダムに動き回るので、全く飽きさせません。これはイイ双子。
 
 ってたった今コミックナタリーに関連情報が。「日高万里「ベリーベリー」開始。付録にスイーツバッグ付き」。本格連載はこれからなんですね。それなら2巻が出てから改めてレビューをするとしようかな。


【男性へのガイド】
→10代前半~中盤の女の子が楽しむための作品。男女差はもちろんのこと、それ以上に年齢的な部分で壁を感じるかもしれないです。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→回し方次第では『V.B.ローズ』以上に長期化させることもできそうですね。元気溢れる少年少女達の活躍は、見ていて非常に楽しいです。ただ感情移入がなかなか出来なかった…。女の子達に関して言えば、始まった時点で既に強固な信頼関係が結ばれており、入り込む隙がないというか。ここは近江くんたちに期待か。


作品DATA
■著者:日高万里
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成20年10号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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