
オレたちは
ずっと
一緒だよ
■この世界には、未知や幻想とされる、人とは異なる「怪物」がいる。闇に潜み、時に人間に悪さをする「それ」を狩るのが、「闇狩」。闇狩一族の宗家末裔・崇方は、幼い頃に最愛の兄を亡くし、以来心を閉ざして生きてきた。そんな彼女を見かねてか、捨てられた人間と狼の子供・雪と夕昏を、父親は託す。それから3年。高校生になった崇方と、崇方を思うあまり人型になった2匹は…!?
トビナトウヤ先生って、「さらしあそび」(→レビュー)も、「潔癖少年」もまだ連載中じゃなかったでしたっけ?そんな中の新作、前述の2作がなかなか面白かたので、こちらも当然期待大。闇に潜む怪物を狩るハンターの少女と、彼女が従える半人半狼の2匹の姿を描いたファンタジーとなっております。ハンター(闇狩)の宗家の末裔である崇方は、幼い頃に、最愛の兄を亡くしてしまいます。兄が怪物から彼女を庇おうとしたのが原因で、以来崇方は、仕事と同時に、憎悪を重ねるように狩りに没頭していきます。そんな彼女に父親から与えられたのが、捨てられたばかりの半人半狼の2匹・雪と夕昏。元々闇狩は、獣を従える伝統があったのですが、これはどちらかというと情操教育的な側面が強そう。嫌々ながらもしっかり彼らを育てた結果、人一倍2匹は崇方に懐き、果てには人型化までします(犬型と人型、どちらにもなれる状態)。

こんな恥ずかしいシーンも、「飼い主とペット」的な関係性があるからこそ出ちゃうし、許される。もうね、にやにやしちゃってしょうがなかったです。
自分のせいで兄を亡くしたと思い込み、さらに相手が怪物とはいえ殺しを稼業としていることから、崇方は人一倍「自分は汚れている」と認識しています。それゆえに、純粋無垢な2匹の存在は、崇方に良くも悪くも様々な影響を与えます。基本的に崇方は2匹に冷たく当たるのですが、それは2匹が異常なほどまでに懐いているからうざったいという以上に、自分(仕事)に関わることで、無垢な2匹を汚したくないという思いからそういった態度をとってしまうようです。それでも段々と2匹に崩されていくのですけどね。
ゴーストハント的な話かと思いきや、そういったアクション要素は薄め。メインで描かれるのは、2匹と対峙するヒロインの心情と、そこからのやりとりについて。コレだけファンタジーでありながら、ここまで“関係”に重きを置いている作品も珍しいかも。「ペットと飼い主」、「主人と従者」、そしてやがては「男と女」という関係性までが見え隠れしてきそうで、なかなか興味深いです。1巻時点では、互いの絆を確認しあうだけに留まっており、いざこざ→「一緒にいるから」の堂々巡りの様相を呈しているのですが、多分これから動いてくるんだろうな。というか、そうじゃなきゃ困る。青年の見ためでありながら、中身は子供という2匹のアンバランスさをどう捉えるかが、そのまま作品の評価に繋がってきそうな気もします。人間の格好してるけど、動物だからべったり体くっつけてくるとか、家では裸だったりと、サービスシーンは満載。とりあえずにやけちゃったけどね、私は。
【男性へのガイド】それが男性全てに受けるという感じはしないかも。好きな人はどハマりしそうですけど。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→ストーリーが動いてくるのは2巻以降かと。現時点では「面白い」というよりも、「興味深い」という感じが強いです。面白いか否かの判断は、読み進めてから判断しても遅くないかな。また続刊レビューします。
作品DATA
■著者:トビナトウヤ
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成21年2号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
■購入する→Amazon