
だったら
お前が俺の『右目』になれ
■命を宿した毛皮・フェンリルによって国王が選ばれるこの国・カトルディーナ。その第41代国王に新たに選出された王は、自ら犠牲にして庇った傭兵を『右目』として召し抱えた。この国が中立国家としてあり続けられる理由…王が頑に玉座にあり続ける理由…そして、『右目』が持つ、隠された過去とは…。様々な思いが交錯する中、大国・ゼフィルがカトルディーナ征服を目論んでいるとの噂が…。彼らが今進むべき道が今、明らかにされる
読み終えてから気づいたのですが、どうやら続編らしいですね。前の巻は、同名のタイトル『しろがねの王』で、そこでは王と右目の出会いについて描かれているそうです。そのため今作では、その辺の説明はまるまるカットされています。
さて、どんなお話なのかと言いますと、戦乱の世を生きる、命を宿した毛皮(オオカミみたいな姿)によって選出された国王と、その護衛の姿を描いたファンタジー。幾つもの国がうごめく中、中立国家としてその地位を築いてきたカトルディーナ。中立国家であるためには、それなりの理由があるものですが、カトルディーナの場合は、ナウシカの巨神兵的な威力を持つ巨大な力の存在が大きく効いています。その力を使えるのは、国王のみで、その国王を選ぶのが、フェンリル。それ故に侵略できない、侵略しても選ばれなければ力を使えないというわけ。ところがその力を、王を人質にとることで得ようとする国が現れます。それが大国・ゼフィル。実は第40代の王はまだ存命しており、どこかに捉えられているという状態。しかし玉座を空けたままにしておくのはまずいということで、急遽擁立されたのが今の王というわけ(もちろんフェンリルには認められている)。

王城閣下・イセル。彼女自身が城の本体であるという不思議な存在。一迅社の作品の女性は、数が少ないながらも、魅力的な女性である確率が高いです。彼女も素敵。何歳とかそういうのは抜きにしてね。
とまぁここまで背景を説明したのですが、これらはあくまで背景にすぎないというか。このお話の核となるのは、あくまで王と右目の関係・生き様についてなんじゃないかと思われます。41代目の王は、40代目の王の側近?護衛?で、王が連れ去られた責任を感じ、自ら仮の王に立候補します。彼の目的は、40代目の王の奪還。そしてそんな彼を護衛する右目にも、ちょっとした過去が。ここまで話すとネタバレになってしまうので控えますが、国の情勢というよりは、個々人の関係に響いてくるような問題で、こちらからストーリーが広がるということはあまりなさそうです。とりあえずその二つが軸として動いていくわけですが、要は男たちの“忠誠”についてのお話で、そういったものに魅力を見出せない人にとっては、あまり美味しくないお話になってしまうかもしれませんね。
【男性へのガイド】
→ファンタジー好きだから大丈夫というわけではない。女性向け感が強いです。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→ストーリー的に齟齬があるわけではないのですが、人間関係に重きを置いているため、現時点では設定の割に話がこじんまりした感じが拭えないというか。主人公たちにハマれるかどうかが鍵。
作品DATA
■著者:碧門たかね
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:XERO-SUM
■既刊1巻
■価格:552円+税
■購入する→Amazon