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Tag [新作レビュー] 2009.08.27
07225726.jpg白石ユキ「となりの恋がたき」(1)



俺を選んで



■茜には、女友達がひとりもいない。その原因は、幼なじみにある。一夜とヒロ、物心ついた頃からずっと一緒に過ごしてきた二人は、気がつけば誰もが振り返るようなイケメンに。そんな二人は茜にべったりなものだから、それをやっかんで女子たちが目の敵にしてくるのだった。それでも三人でいれば幸せだった。ところがその幸せも、突然崩れさってしまった。一夜からの、突然の告白。それにつられるように、ヒロまでも…。三人の想いが絡まる、トライアングルラブ開幕!!

 白石ユキ先生初の巻数付きコミックスです。表紙を見たとき、緑を基調とした落ち着いた雰囲気に、「ベツコミかな?」なんて一瞬思ったのですが、少コミ連載なのですね、意外でした。さて、どんなお話かと言いますと、ヒロインを、幼なじみのイケメン二人が奪い合うという、ただそれだけ。基本的に少女マンガは説明しやすい設定が多いのですが、その言葉以上にシンプルです。ただ余計な設定をしていない分、メインキャラ三人を自由にのびのびと行動させることが出来てます。ずっと前から茜のことを想っていた二人の間では、関係を壊さないために「茜には告白しない」という約束が結ばれていました。ところが我慢が効かなくなった一夜(黒髪の方)が思わず茜に告白。そこからなし崩し的にヒロも想いを打ち明け、気がつけば茜争奪戦の様相を呈してきます。そんな二人を目の当たりにし、とまどう茜。彼女の願いは、ずっと三人でいることなのですが、二人はそれを許してくれません。


となりの恋がたき
ホームルームだか全校集会だかでの一幕。まさかの展開に度肝を抜かれました。いいぞ、もっとやれ。このあと二人はヒロインにキツくお灸を据えられます。


 なんとなく既視感のある設定(多分、春田なな「スターダスト★ウインク」)だったのですが、幼なじみふたりがここまで暴走する話もそうはあるまい。もうこうなったらトコトン突っ走ってもらいたいですね。ただその際、ちょっと気になる点が。それが、幼なじみ二人のキャラクター。当初は、一夜→つい突っ走ってしまうところのある静かに熱い真面目男、ヒロ→女性の扱いに長け遊び人を装っているが、人一倍幼なじみを気遣い、三人のバランスを上手いこととれるオトナ…みたいな位置づけだったと思うのですが、告白以降はなぜか二人とも「茜に向かってダッシュだ!」という感じの直情型暴走キャラに。足並みを揃える必要はない…というか、キャラに差があったほうがストーリー的な広がりを持たせることが出来ると思うのですが。そうなった時点で1巻は終了。恐らくこれから修正してくるとは思いますが、一抹の不安がつきまとうのも事実。キャラの個性を生かした応酬と、イイ感じでアクセントになっている沙央の活躍に期待しつつという感じでしょうか。


【男性へのガイド】
→向かないと思いますよ。
【私的お薦め度:☆☆   】
→これといった目新しさはなかったので。絵がスゴくキレイなので、ついついヒロインにイレ込みそうになりましたけど…よし、私も参戦するか。


作品DATA
■著者:白石ユキ
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('09年第8号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「Sho-Comi」コメント (1)トラックバック(0)TOP▲
コメント

「ボクらの秘密を共有しようか」で白石先生のマンガにとってもはまりました。
これからもがんばって下さい。
From: チェリー * 2011/02/23 21:37 * URL * [Edit] *  top↑

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