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2009.08.27
31745639.jpg小田切ほたる「裏切りは僕の名前を知っている」(1)


進める…前へ
探さなくちゃ
今、自分にできること   



■6巻発売です。
 養護施設で生活する、天涯孤独な高校生・桜井夕月。彼はその生い立ちから、自分の存在理由をいつも求めていた。そんな彼には、ある不思議な能力が。それは時折、触れた相手の思考が読めてしまうというもの。そんなある日、どこか懐かしさを覚える美貌を持った青年・ゼスが現れる。彼との出会いに覚えた不思議な感覚を引きずりながら過ごしていると、さらには夕月の親類だという者までが現れ、一緒にきてくれないかと頼まれる。静かに動き出した時間の流れの先で、彼を待っているものとは…?

 どうもアニメ化が進行しているらしいですね。というわけで、「裏切りは僕の名前を知っている」のご紹介です。まずこの表紙ですよ、もろにBL。何気に薔薇とか使われてますからね、BL以上にBLです。まぁ実際にBL的(あくまで的)な要素はあるのですが、地を行くのは普通のファンタジーですので、ご安心を。主人公は、天涯孤独な高校生・夕月。彼には、触れた相手の思考や生い立ちが読めてしまうという、不思議な力が宿っており、その事を本人は非常に悩ましく思っていました。実は彼は、祇王一族という代々特殊な能力を持つ家系の一人であり、先のあらまし紹介で迎えにきた男も、祇王一族の者。祇王一族は、その特殊な能力を生かし悪魔と闘っているのですが、大きな決戦を前に、切り札となる特殊な力を持つ夕月が必要となり、彼を迎えにきたというわけ。


裏切りは僕の名前を知っている
主人公は回復役。少年マンガとかだと主人公は大抵攻撃メインだよね。


 悪魔との戦いは何百年かごとに繰り返され、主力となるメンバーはその度に転生し、悪魔と対峙してきました。夕月の前世は女性で、ゼスの恋人でした。そのゼスは、悪魔出身であるため、生まれかわってはいませんが、そういった過去があるために、夕月の事を人一倍おもっているという状況。これが先の「BL的要素」になります。

 序盤からよくわからない用語がいっぱいで、かつ自分は特別な存在という辺りから、中二病の匂いが非常に強いわけですが、読んでいてそのことを意識してしまうことは、ほとんどありません(少なくとも私は)。物語の設定自体はありふれていると言えなくもないですが、キャラの使い方や動かし方、そしてストーリー展開が非常に上手いので、物語にグッと引き込まれます。難しい用語などが出てきても、逐一説明されるので、読み手にも親切。主人公が何も知らないために、こういう状況が起こるのでしょうが、それを差し引いても読みやすいです。


【男性へのガイド】
→表紙から来るイメージとは違い、読みやすいですよ。ある程度の腐耐性がある方なら、全く問題なし。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→わかりやすい展開(親切的なニュアンス)で、実に読みやすいです。アニメは見るかわからんけど、気になってはいます。


作品DATA
■著者:小田切ほたる
■出版社:角川書店
■レーベル:ASUKAコミックスDX
■掲載誌:Asuka(2005年11月号~連載中)
■既刊6巻

■購入する→Amazonbk1

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