作品紹介はこちら→有川浩/弓きいろ「図書館戦争 LOVE&WAR」
弓きいろ/有川浩「図書館戦争LOVE&WAR」(4)
何故だろう
この胸の痛みは
あの日の涙と似ている気がした
■4巻発売です。3巻までずっとワクワクしながら読んでいたわけですが、4巻にて大爆発。ヤバいです、もう堂上教官カッコよすぎます、堂上萌えです、素晴らしい。
ストーリーは、「情報歴史資料館」から貴重な資料を運ぶミッションから外された郁が、代わりに任務に就いた稲嶺館長の護衛の最中に、稲嶺館長共々不審者に拉致されてしまうところから始まります。任務を終えた図書隊の面々は、すぐさま救出へ向かうのですが、その際に、堂上教官の郁への想いが明らかに…というか、王子様の正体がついに(?)明らかになります。
まぁ王子様が誰なのかは、1巻からあからさますぎるほど堂上教官で匂わせていたわけですが、そのせいで「ここまであからさまってことは、逆に堂上教官じゃないってことも…?」なんて考えることも。例えるならば、"ランナー二塁で、代打川相"みたいな状況であり、「あまりにバントな場面だからこそ、ここはヒッティングかも!?」と疑ってしまうみたいな。結局その心配は杞憂に終わり、やはり王子様は堂上教官でしたとさ(原作読者はもう知ってたのだと思うけど)。普通であればこの匂わせ方は決して褒められた物ではありませんが、読者の多くは、意外なほど満足しているんじゃないでしょうか?そのベタさすらも快感に変えてしまうほど、この作品はトキメキに溢れており、またこの二人が微笑ましい。元々の原作が良いのはもちろんでしょうが、こういった魅せ方で勝負してきた弓きいろ先生に、拍手を送りたいです。

当の郁はまだ王子様の正体に気づいていない。「みたい」じゃなくて、王子様なんだよ!
さて、王子様の正体が明らかになると同時に、堂上教官の郁への想いも明らかになります。今まで人一倍厳しく指導すると共に、場面によっては過剰とも思えるほどの保護を見せてきた堂上教官。その裏には、“郁が女だから”、“郁が自分(といっても昔の)に憧れを持っているから”といった理由以上に、さらに深い想いがありました。
郁と堂上が出会うきっかけとなった、5年前の出来事。郁の必至な姿を見て、思わず見計らい図書指定するという、勝手な行動に出てしまった堂上ですが、その行動は規則違反として図書隊で大きな問題となっていました。自分だけの問題ならばまだ良かったものの、査問会で糾弾される日々が続き、図書隊原則派全体の立場をも危うくなるという状況。郁を助けたことに後悔はないものの、結果として多くの人に迷惑をかけてしまったため、二度とあのような真似はせず、また後先考えない軽率さと、感情に流される弱さを完全に捨て去ろうと心に決めます。そんな彼の前に現れた、あの日の少女。自分の欠点だと捨て去った過去を、大事に大事に抱え込み、否が応でも自分の心に入り込んできます。そして採った対峙の方法が、徹底的に厳しく指導することでした。自分のあの日の欠点が、彼女を危険な仕事に就かせるきっかけになってしまった、できることなら、彼女が自分の目の前で傷つく前に、リタイアして欲しい 彼女へ向けられた厳しさは、“照れ”でも“男と対等にやりあえるだけの強さを持って欲しいというポジティブな願い”からでもなく、彼女を徹底的に守ることで、己の欠点をただただ強く責めるという、どこか贖罪にも似た、ネガティブな想いに端を発するものでした。
もはや“責任”という範囲すら越える、その扱い。重い、重いよ、堂上さん。しかもその想いが昇華してしまったのか、ついには「笠原は俺が育てた」宣言ですからね。素晴らしいです。恋愛関係でいえば、責任出発というのはあまり頂けないものの、先の発言を見るに、その関係性は徐々に変化してきているご様子。ますます先が楽しみになってきました。

「笠原はワシが育てた」。当初の、郁に対する堂上の立ち位置からすると、この発言はまずありえないわけで、そう考えると、当たり前ながら堂上の心境に変化が見られているという。
っていうか図書見計らいって結構な大事なんですね。1巻で郁が暴走し、権限がないにも関わらず見計らいをしようとしたときは、堂上・小牧・玄田の3人のフォローによって事無きを得たわけですが、堂上が一人で見計らいをしたときは、査問会で糾弾され続けるという。当時は堂上の階級も一つ下で、見計らい権限を執行できる最低位なわけですから、それはそれで納得なのですが、それでもこの落差は…と。やはり図書監の位に就いている玄田さんがいたからこそなのか…それとも3人の意思があったからこそなのか。図書隊の仕組みももっと知ってみたいですね。
4巻では、郁&稲嶺指令救出作戦の他に、郁の両親が登場し、職場見学をしていくというお話が。防衛員をしていることをひた隠しにしている郁のため、周囲の面々は全力でフォローに回るのですが、果たして…?加えて小牧教官のカッコいい場面も拝むことが出来ますよ~。「この人、器用なんだろうな、凄く爽やかに嘘吐いたりしそう」なんて勝手に思ってたのですが、実は人一倍正直者…というか不器用だったのですね。そういったことを自覚しているからこそ、ああいったキャラになるのか。なんだか納得。小牧といい柴崎といい、優しく見守る傍観者的なキャラが大好きです。こういうキャラ達がいるからこそ、不器用なキャラ達がより引き立つってもんです。
■購入する→Amazon
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bk1

何故だろう
この胸の痛みは
あの日の涙と似ている気がした
■4巻発売です。3巻までずっとワクワクしながら読んでいたわけですが、4巻にて大爆発。ヤバいです、もう堂上教官カッコよすぎます、堂上萌えです、素晴らしい。
ストーリーは、「情報歴史資料館」から貴重な資料を運ぶミッションから外された郁が、代わりに任務に就いた稲嶺館長の護衛の最中に、稲嶺館長共々不審者に拉致されてしまうところから始まります。任務を終えた図書隊の面々は、すぐさま救出へ向かうのですが、その際に、堂上教官の郁への想いが明らかに…というか、王子様の正体がついに(?)明らかになります。
まぁ王子様が誰なのかは、1巻からあからさますぎるほど堂上教官で匂わせていたわけですが、そのせいで「ここまであからさまってことは、逆に堂上教官じゃないってことも…?」なんて考えることも。例えるならば、"ランナー二塁で、代打川相"みたいな状況であり、「あまりにバントな場面だからこそ、ここはヒッティングかも!?」と疑ってしまうみたいな。結局その心配は杞憂に終わり、やはり王子様は堂上教官でしたとさ(原作読者はもう知ってたのだと思うけど)。普通であればこの匂わせ方は決して褒められた物ではありませんが、読者の多くは、意外なほど満足しているんじゃないでしょうか?そのベタさすらも快感に変えてしまうほど、この作品はトキメキに溢れており、またこの二人が微笑ましい。元々の原作が良いのはもちろんでしょうが、こういった魅せ方で勝負してきた弓きいろ先生に、拍手を送りたいです。

当の郁はまだ王子様の正体に気づいていない。「みたい」じゃなくて、王子様なんだよ!
さて、王子様の正体が明らかになると同時に、堂上教官の郁への想いも明らかになります。今まで人一倍厳しく指導すると共に、場面によっては過剰とも思えるほどの保護を見せてきた堂上教官。その裏には、“郁が女だから”、“郁が自分(といっても昔の)に憧れを持っているから”といった理由以上に、さらに深い想いがありました。
郁と堂上が出会うきっかけとなった、5年前の出来事。郁の必至な姿を見て、思わず見計らい図書指定するという、勝手な行動に出てしまった堂上ですが、その行動は規則違反として図書隊で大きな問題となっていました。自分だけの問題ならばまだ良かったものの、査問会で糾弾される日々が続き、図書隊原則派全体の立場をも危うくなるという状況。郁を助けたことに後悔はないものの、結果として多くの人に迷惑をかけてしまったため、二度とあのような真似はせず、また後先考えない軽率さと、感情に流される弱さを完全に捨て去ろうと心に決めます。そんな彼の前に現れた、あの日の少女。自分の欠点だと捨て去った過去を、大事に大事に抱え込み、否が応でも自分の心に入り込んできます。そして採った対峙の方法が、徹底的に厳しく指導することでした。自分のあの日の欠点が、彼女を危険な仕事に就かせるきっかけになってしまった、できることなら、彼女が自分の目の前で傷つく前に、リタイアして欲しい
もはや“責任”という範囲すら越える、その扱い。重い、重いよ、堂上さん。しかもその想いが昇華してしまったのか、ついには「笠原は俺が育てた」宣言ですからね。素晴らしいです。恋愛関係でいえば、責任出発というのはあまり頂けないものの、先の発言を見るに、その関係性は徐々に変化してきているご様子。ますます先が楽しみになってきました。

「笠原はワシが育てた」。当初の、郁に対する堂上の立ち位置からすると、この発言はまずありえないわけで、そう考えると、当たり前ながら堂上の心境に変化が見られているという。
っていうか図書見計らいって結構な大事なんですね。1巻で郁が暴走し、権限がないにも関わらず見計らいをしようとしたときは、堂上・小牧・玄田の3人のフォローによって事無きを得たわけですが、堂上が一人で見計らいをしたときは、査問会で糾弾され続けるという。当時は堂上の階級も一つ下で、見計らい権限を執行できる最低位なわけですから、それはそれで納得なのですが、それでもこの落差は…と。やはり図書監の位に就いている玄田さんがいたからこそなのか…それとも3人の意思があったからこそなのか。図書隊の仕組みももっと知ってみたいですね。
4巻では、郁&稲嶺指令救出作戦の他に、郁の両親が登場し、職場見学をしていくというお話が。防衛員をしていることをひた隠しにしている郁のため、周囲の面々は全力でフォローに回るのですが、果たして…?加えて小牧教官のカッコいい場面も拝むことが出来ますよ~。「この人、器用なんだろうな、凄く爽やかに嘘吐いたりしそう」なんて勝手に思ってたのですが、実は人一倍正直者…というか不器用だったのですね。そういったことを自覚しているからこそ、ああいったキャラになるのか。なんだか納得。小牧といい柴崎といい、優しく見守る傍観者的なキャラが大好きです。こういうキャラ達がいるからこそ、不器用なキャラ達がより引き立つってもんです。
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