
この「花」が
もっともっと美しくなるのなら
俺は
■10巻発売しました。
京都の祇園・清白屋のオーナーであり芸妓の胡蝶。父親は歌舞伎俳優の北浜京次郎
、そして母は清白屋で芸妓をしていた相模。両親の才を余す事無く受け継いだ胡蝶は、京舞の天才としてその名を都に轟かせていた。そして同時に、有り余る色気で、数々の男を魅了する…。そしてまた、胡蝶の魅力に取りつかれた男が…。
1巻発売時は2000年。約10年かけて10巻と、その刊行ペースはゆっくりですが、未だ根強い支持がされている作品です。お話は、祇園で芸妓をしている舞の天才・胡蝶と、彼女を取り巻く華やかで複雑な人間模様を描いたもの。あらまし紹介だけだと、時代物のような印象を与えてしまうかもしれませんが、舞台は現代の京都祇園。舞の天才、女、そして芸妓として生まれ落ちた宿命の中で、人一倍華やかに、そして強かに生きる胡蝶の生き様を楽しむ…人が多いのかな?とにかく男性を魅了しまくる胡蝶、その美しさと舞の才能に、各界舞踊の名手たちは夢中になります。そんな彼女には、実は旦那がいます。それが胡蝶の幼なじみの、恵慈。胡蝶は彼の子をもうけることを望みましたが、その才をより強く子供に受け継がせるため、恵慈はそれを拒否。恵慈の了承(というか願い)を得て、胡蝶は愛人(舞踊の名手たち)を複数持ちます。

この表情。これほどまでに主人公主人公したヒロインも、なかなかいない。爽やか系ではないですが、芯があり、強い。
初っぱなから親子どんぶり状態になったりと、なかなかクセの強い内容。ただ設定だけで回すならば、クセばかりの強い駄作になってしまうのですが、この作品はそれに耐えうるだけの面白さがあります。とにかく人間関係と心情描写が濃厚。ヒロインの胡蝶も、少女漫画のヒロインとしてはありえないほど強かで、彼女をとりまく男達もその欲望を全開。この欲に正直、いや、正直にならざるを得ないという描写は、見事と言うほかないです。一般人であればありえない展開も、天才・芸妓・舞踊といった背景が、それを許容(というか後押し)します。ひとつ「誰の子供を生むか」みたいな所が軸になるわけですが、それだけじゃないんだな。とにかくこの作品を説明するには、「一回読んでみて」と言うほかないのかも。ただその「一回読んでみて」は、決して「(絶対気に入るから)一回読んでみて」ではなく、どちらかというと「(気に入るかわからないけど)一回読んでみて」という感じ。
この作品のヒロインは胡蝶ですが、ヒーローは果たして誰になるのでしょうか?個人的にはギラギラ系の恵慈が好きなのですが、頑張りを見ると周一を推してあげたくなります。周一のようなキャラ(やんちゃな子犬というか、情けない肉食系というか)って、ベテラン作家の作品には必ずと言っていいほど登場するのですが、こういうキャラってひとつ上のポジションから男を見るからこそ描けるキャラなんじゃなかろうかな、と最近思うようになりました。人生経験故の産物というか。ま、そこもひとつの見所ということで。
【男性へのガイド】
→ このレーベルですがメロディ連載なので、一般の少女マンガとは趣が異なります。ただ、これもまた女性だからこそ描ける物語。濃厚な人間関係を見たいと言う方は。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→個人的には楽しんで読んでいるのですが、そのクセの強さゆえになかなかオススメにはしづらいという状況。良くも悪くも一読の価値ありという感じでしょうか。
作品DATA
■著者:河惣益巳
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:メロディ(平成10年12月号~連載中)
■既刊10巻
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