作品紹介はこちら→ねむようこ「午前3時の無法地帯」
ねむようこ「午前3時の無法地帯」(3)
好きって言わなくても
キスしなくても
晴れてなくても
本当のことはちゃんとそこに
■3巻発売、完結しました。
キスまでして、これからさらに距離を縮めていく…期待ばかりが膨らんでいくももこだったが、ある日多賀谷さんに奥さんがいることが発覚する。まったく予想していなかった事実に、混乱し、やがて必死に想いを断ち切ろうとする。けれど、熱にうなされて見えてしまったのは、彼の姿で 。
3巻で完結というのは当初のアナウンス通り。結末…というか、結末に向かうまでの道程は、自分の予想していたものと少し違いましたが、いやぁ、面白かったです。
■全体的に、思いのほかシンプルな構成だった?
さて、自分の予想していた道程と違ったと書きましたが、それについて少し。まず、2巻終了時点で一番の争点になっていたのは、多賀谷さんが既婚者である=多賀谷さんの奥さんの存在でした。こういう設定が出てくると、十中八九昼ドラ的なドロドロ展開が待っているのですが、今回に関してはそれはナシ。2巻での多賀谷さんの「結婚してるけど、もうずっと別居中で、事実上はとっくに終わってて…」という言葉は、言い訳でもなんでもなく、まぎれもない事実でした。というか、早く籍を抜きたいのに連絡がつかないとか、スゴい状況。ということでこのお話の、こと恋愛面で描かれるのは、惹かれあう二人が何が外部的な壁に阻まれて…というメロドラマ的な展開ではなく、単に(といっては失礼だけど)2人の気持ちのすれ違いを描くだけという、至ってシンプルなものでしたとさ(当事者同士は複雑だろうけど)。3巻で終了ということを考えると、コレがベストだったのかもしれません。それにももこにも荷が重すぎるでしょうしね。
そういったすれ違いを越え、晴れて二人は結ばれるわけですが、見てください、このももこ…

全然成長してません(笑)多賀谷さんは籍を抜いたわけではなく、その上でただ事情のみを話し、最後に「待ってて」の一言のみ伝えます。それにやられてしまったももこは、いままでずっと我慢してきた反動もあり、了承すると共に、さらに恋愛熱にうかされるという状況に。「待ってて」なんて、普通であれば何の信用も置けないような言葉なわけですよ。でもそれを、全力で「大丈夫」なんて言っちゃうももこ。若さゆえの勢いというか、やっぱりももこはももこなんだなぁ、というか。
当初は「はじめてのオトナの恋愛」みたいな状況を描くのかと思っていたのですが、そんなことはなかったぜ。まぁ障壁が会社周辺での人間関係のみになった時点で、そういう方向に進む可能性は低くなっていたわけですが。それにしてもこうくるとは。予想外の展開に最初は驚いたものの、いや、でもこれで良いですよね。といかむしろ、これでこそももこだし、これでこそ20歳前後の恋だ!と。さらに最後には、多賀谷さんの岐阜行き決まってしまうのですが、それを聞いたももこは「私もいく!」とか言っちゃいます。もう若さ全開。素晴らしいです。大人であれば、ちっぽけな“守るべきもの”がありすぎて、なかなかこういった行動はとれません。守りに入って、簡単に相手を信用できないし、全部捨てて相手についていこうなんて行動もとれない。自分もそう歳が離れてるわけではないんですが、こういう勢いに任せる所はちょっと羨ましいなぁ…多分無理だけど。
そんなももこですが、全く成長していないわけではありません。ラストでは、仕事にやりがいを見出し、逞しく仕事をこなしていく姿が描かれています。劇的に何か変わるわけではなく、すこしずつ適応していく。うん、こういうものだよね、成長ってのは、となんとなく納得してしまいました。
■多賀谷さんはイイ男
さて、最後に多賀谷さんについても少し。あらましだけを説明していると、どうも多賀谷さんがそんなにイイ男じゃないんじゃないかって印象を与えてしまう気がするのですが、やっぱり選ばれるべくして選ばれた男ですよ、彼は。最初は歳上ってだけで、ちょっとばかし積極的なただの男かと思っていたんですけどね、離婚成立後の一幕で印象ががらりが変わりました。

大嫌いだったよ!
ももこの「…多賀谷さんは、その人のこと…好きだった?」という質問に対する答え。偉いなぁ。離婚したとはいえ、嫌いだったはずないんですよ。でも「大嫌いだったよ!」と答える心意気。これが正解かどうかはわかりませんが、自分にはない選択肢。私だったら安心感から、正直に「うん…」とか答えちゃいそうですもん(笑)
最初から最後まで、勢いがあって非常に気持ちの良い作品でした。大事なことをあみだで決めてしまったりする、その雰囲気が大好き。シリーズ第2弾「午前3時の危険地帯」にも期待しつつ、ねむようこ先生に拍手!
■購入する→Amazon
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bk1

好きって言わなくても
キスしなくても
晴れてなくても
本当のことはちゃんとそこに
■3巻発売、完結しました。
キスまでして、これからさらに距離を縮めていく…期待ばかりが膨らんでいくももこだったが、ある日多賀谷さんに奥さんがいることが発覚する。まったく予想していなかった事実に、混乱し、やがて必死に想いを断ち切ろうとする。けれど、熱にうなされて見えてしまったのは、彼の姿で
3巻で完結というのは当初のアナウンス通り。結末…というか、結末に向かうまでの道程は、自分の予想していたものと少し違いましたが、いやぁ、面白かったです。
■全体的に、思いのほかシンプルな構成だった?
さて、自分の予想していた道程と違ったと書きましたが、それについて少し。まず、2巻終了時点で一番の争点になっていたのは、多賀谷さんが既婚者である=多賀谷さんの奥さんの存在でした。こういう設定が出てくると、十中八九昼ドラ的なドロドロ展開が待っているのですが、今回に関してはそれはナシ。2巻での多賀谷さんの「結婚してるけど、もうずっと別居中で、事実上はとっくに終わってて…」という言葉は、言い訳でもなんでもなく、まぎれもない事実でした。というか、早く籍を抜きたいのに連絡がつかないとか、スゴい状況。ということでこのお話の、こと恋愛面で描かれるのは、惹かれあう二人が何が外部的な壁に阻まれて…というメロドラマ的な展開ではなく、単に(といっては失礼だけど)2人の気持ちのすれ違いを描くだけという、至ってシンプルなものでしたとさ(当事者同士は複雑だろうけど)。3巻で終了ということを考えると、コレがベストだったのかもしれません。それにももこにも荷が重すぎるでしょうしね。
そういったすれ違いを越え、晴れて二人は結ばれるわけですが、見てください、このももこ…

全然成長してません(笑)多賀谷さんは籍を抜いたわけではなく、その上でただ事情のみを話し、最後に「待ってて」の一言のみ伝えます。それにやられてしまったももこは、いままでずっと我慢してきた反動もあり、了承すると共に、さらに恋愛熱にうかされるという状況に。「待ってて」なんて、普通であれば何の信用も置けないような言葉なわけですよ。でもそれを、全力で「大丈夫」なんて言っちゃうももこ。若さゆえの勢いというか、やっぱりももこはももこなんだなぁ、というか。
当初は「はじめてのオトナの恋愛」みたいな状況を描くのかと思っていたのですが、そんなことはなかったぜ。まぁ障壁が会社周辺での人間関係のみになった時点で、そういう方向に進む可能性は低くなっていたわけですが。それにしてもこうくるとは。予想外の展開に最初は驚いたものの、いや、でもこれで良いですよね。といかむしろ、これでこそももこだし、これでこそ20歳前後の恋だ!と。さらに最後には、多賀谷さんの岐阜行き決まってしまうのですが、それを聞いたももこは「私もいく!」とか言っちゃいます。もう若さ全開。素晴らしいです。大人であれば、ちっぽけな“守るべきもの”がありすぎて、なかなかこういった行動はとれません。守りに入って、簡単に相手を信用できないし、全部捨てて相手についていこうなんて行動もとれない。自分もそう歳が離れてるわけではないんですが、こういう勢いに任せる所はちょっと羨ましいなぁ…多分無理だけど。
そんなももこですが、全く成長していないわけではありません。ラストでは、仕事にやりがいを見出し、逞しく仕事をこなしていく姿が描かれています。劇的に何か変わるわけではなく、すこしずつ適応していく。うん、こういうものだよね、成長ってのは、となんとなく納得してしまいました。
■多賀谷さんはイイ男
さて、最後に多賀谷さんについても少し。あらましだけを説明していると、どうも多賀谷さんがそんなにイイ男じゃないんじゃないかって印象を与えてしまう気がするのですが、やっぱり選ばれるべくして選ばれた男ですよ、彼は。最初は歳上ってだけで、ちょっとばかし積極的なただの男かと思っていたんですけどね、離婚成立後の一幕で印象ががらりが変わりました。

大嫌いだったよ!
ももこの「…多賀谷さんは、その人のこと…好きだった?」という質問に対する答え。偉いなぁ。離婚したとはいえ、嫌いだったはずないんですよ。でも「大嫌いだったよ!」と答える心意気。これが正解かどうかはわかりませんが、自分にはない選択肢。私だったら安心感から、正直に「うん…」とか答えちゃいそうですもん(笑)
最初から最後まで、勢いがあって非常に気持ちの良い作品でした。大事なことをあみだで決めてしまったりする、その雰囲気が大好き。シリーズ第2弾「午前3時の危険地帯」にも期待しつつ、ねむようこ先生に拍手!
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