
木下しおり27歳
祖父の古書店を継ぎ
店長になりました
■木下しおり27歳。幼い頃から本が大好きで、この度念願叶って祖父の経営する古本屋を引き継ぐことになりました。小さい頃から商店街の人たちに愛されて育ち、今ではすっかり、木下家ではなく、商店街の娘状態に。両親は共に単身赴任で不在だけど、高校生の妹と、まだまだ現役の祖父と一緒に毎日楽しく過ごしています。小さな古本屋には、なかなか厳しいご時世。でも、本が好きだという気持ちと、商店街の人たちの温かさで頑張ります!
1巻発売までに、連載開始から実に4年を費やしたというからスゴい。いや、4コマでは得てしてこういうことが起こるのですが、それでも4年ってのはなかなか。ということで、「はこいり良品」のご紹介です。ヒロインは、27歳にして古本屋の店長になった木下しおり。昔から本が大好きで、その上しっかり者。単身赴任で不在の両親の代わりに、妹の面倒を立派に見ています。放浪癖のある祖父と、まだ高校生の妹ということで、店の切り盛りはほぼ彼女一人でこなすという状況。本が好きという気持ちと、売り上げアップさせなくてはという商魂の兼ね合いから、時折不思議な方向へ彼女を走らせるのですが、それが一つのネタに。ま、基本的にはしっかり者なので、そういう意味では読んでいて安心ではあります。

思わず「欲しい…」と呟いてしまった本棚。しおりさん、かなりのアイデアマン(ウーマン?)でもあるのです。
古本屋と商店街の面々、そして家族との変わらぬ温かい日常を描くのかと思いきや、それだけには留まりません。妹と、その幼なじみである魚屋の倅でラブコメチックな展開を用意。最初、倅はしおりに憧れていたものの、周囲の意図によってかよらずか、段々と妹のほうが気になるように。当の妹はというと、その気は一切ナシで、あくまで彼を見るのは「幼なじみ」という目線だけ。それでも二人の関係に、若干の変化が見られているから、これから先が楽しみです。またしおりも、お見合い話から同業者の青年との知り合いになるなど、これから先動き出しそうな要素アリ。ま、彼女も妹と同じく、彼のことははあくまで「同業者」としてしか見ていないわけで…普段は正反対の性格でも、根は似たもの姉妹ですね。
まとめると、古本屋ないし商店街軸で、日常という変わらぬ物語を描き出し、同時に恋愛軸で、変わっていく人間関係を描き出すという構成。変わらぬ良さと、変わっていく面白さ。その二つを、見事なバランスでミックスさせた良作と言えるのではないでしょうか。一冊で二度も、4コマの醍醐味を味わえるようになっています。おすすめ。
【男性へのガイド】
→芳文社4コマですからね、読みやすいに決まってます、はい。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→続きが出るのはいつ?…待ち遠しいぜ。このバランス感はなかなか出せるもんじゃないと思うんですけど、どうなんだろ。あ、わかりにくいかもですが、オススメですよ。
作品DATA
■著者:井上トモコ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイム(2005年3月号~)
■既刊1巻
■価格:619円+税
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