
僕に
フタバさんを譲ってくれませんか?
■人気不振により突然、連載を打ち切られた漫画家・フタバトワコ。担当編集にも見放されそうになり、まさに崖っぷちのフタバに差し伸べられたのは、同じ社の男性編集者・秋元の手だった。髪は長いしメガネだし、着ているTシャツのデザインも変…けれど、自分の描きたいことを最優先してくれて、かつ誠実にサポートしてくれる彼の仕事ぶりに、思わず胸を打たれ、いつしか好意を抱くように。恋も仕事も、まだまだ駆け出し。崖っぷちだけど…いや、崖っぷちだからこそ、前に進むしかない
ついに新作きましたー。当ブログでもプッシュしました「午前3時の無法地帯」(→レビュー)のねむようこ先生の、芳文社での連載作品になります。ヒロインは、連載を打ち切られたばかりの漫画家・フタバトワコ。担当編集に見切られそうになった矢先、歳のやや近い秋元に拾われることになります。今ひとつパッとしない風貌ではあるものの、その仕事ぶりは実に誠実。精一杯のサポートに、やがてフタバは秋元に好意を抱くようになります。仕事上のパートナー…されど男と女。恋に仕事にステップアップしていきたいフタバですが、なかなか順調にはいきません。簡単に読者は認めてくれないし、秋元には恋人の存在が…。

恋愛と仕事の2本軸。どちらかが疎かに…ということはなく、どちらもしっかり描かれていて、2度美味しい。
描こうとしているのは、「午前3時の無法地帯」とほとんど同じですかね。社会人(この話では漫画家だけど)になりきれていない主人公が、その世界で揉まれることによって成長していく。そしてそんな中で素敵な人と出会い、恋をするのですが、そちらでもオトナになりきれず、苦しむという。その感情の描き出しが、相も変わらず上手で素敵。「恋も仕事も」というのは、祥伝社フィーヤンのキャッチフレーズですが、こちらも言うなれば「恋も仕事も」を描いたお話。ただそれが“漫画家の”恋と仕事である辺りが、芳文社らしさが出ていて良いなぁという感じがします。
漫画家が描く漫画家のお話ですから、リアルじゃないわけありません。多少の“作り”は入っているかもしれませんが、それは感じさせません。少女マンガでこういうお話を描くと、乙女の夢要素が強く入ってきてしまい、逆に青年誌でこういうお話を描くと、途端に生臭さが強くなってしまう(どっちも好きだけど)。この作品は、いわばその中道を行っており、裏表紙にある言葉を借りると、リアルでガーリィな漫画家のお話になります。それでタイトルが「ペンとチョコレート」でしょ?うまいなぁ。
【男性へのガイド】
→ラブリー連載ですし、基本的には女性が楽しむようなお話。ただ出来が良いので男性も全然OKです。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→期待に違わぬ面白さ。ねむ先生ファンも、そうでない方も、恋愛ものが好きな方は、是非一度手に取ってみてください。
作品DATA
■著者:ねむようこ
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS STORY
■掲載誌:まんがタイムラブリー(2008年9月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:619円+税
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