
吉馬はヨユウ満ち満ちで
オレばっか一杯イッパイ
いっつもこんな
でもすげー好き…。
■2巻発売しました。
敷島七里、中学一年。剣道で腕を鳴らした父の影響で、幼い頃から双子の弟と一緒に剣道に打ち込んできた。そんな七里には、忘れられない相手がひとり。小学一年生の時、ボコボコに打ちのめされた相手、敷島吉馬。その吉馬が、今度入学する中学にいるらしい。3年生で、恐らく剣道部でも中心的人物になっているに違いない…。ところがいざ入学してみると、違う意味で学校の中心的存在になっていることが判明する。男女どちらにもモテモテな、オープンなバイセクシャル。そして吉馬のレーダーは、どうやら七里に反応してしまったようで…!?
まさかの2巻発売でございます。1巻が刊行されたのが、2003年。その間に、「BOYSエステ」と「さくら河*Volley-Boys」(→レビュー)の連載を終え、6年越しでの続刊刊行になります。と言っても、「BOYSエステ」は「BISEXUAL」の登場人物たちが中心を担っている、いわば続編のようなきらいがあるので、売り方としては悪くないのか。

頭身がちょくちょく変化する。奇面組…は言い過ぎかもですが、そういった効果が少なからずあるのは事実。
さて、では内容の紹介を。主人公は、剣道一本で今まで来た、ファザコンの気のある中学一年生・七里。そんな彼が、小学校時代に試合をし、こてんぱんにやられてしまった、忘れられない相手である吉馬と、中学で再会します。自分のことなんかどうせ覚えていないだろう…。そう思っていたのですが、吉馬のほうもちゃーんと七里を覚えていました。しかもそれだけに留まらず、正真正銘の“愛情”を持って七里に迫ってくる始末。実は彼、校内でも有名な、バイセクシャルで、彼に食われた男女は数知れず。しかも妙なカリスマ性を持つものだから、彼の影響を受けて同性愛に走る生徒が跡を絶たないという、なんとも壮絶な状況になっていたのでした。最初は吉馬の誘いを断固拒否する七里でしたが、剣道の大会に出場してもらうという条件付きで、一度だけ体を許してしまいます。それ以降、体は許さずとも、どうにも吉馬のことが気になってしまう七里。そして気がつけば、七里の心は吉馬で一杯になっていたのでした…と言う流れ。
こうやって書いていると、スゴい内容ですよね。中学生で、バイセクシャルで、入れ食い状態で…と。BL…とはちょっと違う気もするのですが、どうなんだろ。けれどそれを、そこまでえげつない内容に見せず、マイルドに乗り切ってしまうのが、真崎先生のスゴい所。なんていうか、ノリが良い意味で軽いんですよ。だからそこまで深刻に見せない。ストーリーが進むと、バイセクシャルってところだけに留まらず、もう一個スゴい設定まで飛び出してくるのですが、それもまた必要以上に深刻に見せない。キャラ達がみな、前向きな性格なところがいいのでしょうか。こういう話を読めるってのもまた、デザートの良いところ。
「さくら河*Volley-Boys」ではバレーをなまじメインに据えてしまったため、結果としてキャラ達のユルくて痛快な掛け合いを活かすことが出来なかったのですが、こちらは「剣道」を、メインに据えることなく、あくまでキャラの個性を引き出すツールとして、上手く活用しています。これでこそ真崎先生。「BOYSエステ」が好きな方は、読んでおいて損はないと思いますよ。
【男性へのガイド】
→さてどうしたものか。この設定に耐えられる殿方であれば、後はノリでカバー可能。設定の時点でアウトならば、無理って感じでしょうか
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→これはこれで楽しめますが、どうせなら「BOYSエステ」の方が。内容的にもお薦めしづらい感が。
作品DATA
■著者:真崎総子
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:デザート
■既刊2巻
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