
必要と されたい…
いてほしいと
思われたいから
■校内美化から恋の悩みまで、なんでもやります魁高校生徒会。しかし生徒会長・桜井のやる気とは裏腹に、生徒たちからの評判は最悪。その原因は、生徒会のメンバーである、椿清衣。人の心を読むという特殊な能力を持ちながらも、極度のコミュニケーション不全で、トラブルを、解決ではなく発生に導いてしまう。気がつけば、生徒会は「クソ生徒会」,生徒会長は「アホ生徒会長」,椿は「不幸を呼ぶ呪い女」などと呼ばれる始末。それでも校内に困り事がある限り、生徒会は全力で対処致します!
触れた相手の心の中が読める少女・椿清衣が、生徒会の一員として、トラブル解決に奔走するものの…!?という学園コメディ。その能力によって、生徒たちの潜在的な悩みを知り、解決に導こうじゃないか!!という生徒会長の目論みによって、生徒会に所属することになったヒロイン・清衣ですが、コミュニケーションに大きく難アリ(恋の病→鯉の病,キモイ→気分が悪い,殺す→マジで受け取るetc.)のため、トラブル解決どころかトラブルメーカーに。人一倍「役に立ちたい」という想いが強いため、いつも行動は暴走モードになってしまいます。生徒会の面々も、彼女を掌握する術を持っておらず、結果として生徒会の評判はうなぎ下がり。それでもなお生徒たちの役に立とうと、ヤンキー生徒会長を筆頭に、あの手この手で悩みをキャッチし、解決へ向けて奔走(暴走)していきます。

猪突猛進、一心不乱。あくまで善意によって動いている。ただ「確認する」という段階と、「いい塩梅」というさじ加減がないだけ。
コミュニケーション不全のヒロインに、若干ヘタレが入りつつも、常にヒロインを認めてくれる相手役という組み合わせは、ここ数年で少女漫画のトレンドになっていますが、このお話もそんな中の一つ。ただそれはあくまでオマケで、ヒロインが人の心を読む能力を持っているというワンアイデアが、ストーリーの軸となります。とにかく動かしやすそうなヒロインと、個性豊かな生徒会メンバー。画は常に動きがあり、読んでいて飽きることがありません。みんなどこか抜けてるし、楽しいですね。
また不器用すぎるヒロインが実にかわいいです。気持ちは読めるものの、彼女へ向けられる感情は、どちらかというと「気味が悪い」とか「怖い」とかいうマイナスなものがほとんどでした。そんな中、彼女の能力を認め、迎え入れてくれた生徒会長と、生徒会。必要とされることの喜びと、受け入れられることの喜び…その二つを知ったヒロインは全力で、生徒たちの悩みを解決しようと奔走するのです。この関係性が、単純ながら、いや単純だからこそ、素敵に感じられます。なんか人間ではなく、犬みたいな感じ?それが良い。ただ何故舞台を高校にしたのだろう、という気がしなくもないです。別にこれ、中学でも良かったんじゃなかろうか、なかよしだし。
【男性へのガイド】
→読みにくさを作り出す要素は特にナシ。問題は対象年齢なワケですが、大人でもそれなりに楽しめる内容になっていると思います。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→ワンアイデアでここまで暴走できるのか。全体的によく動いて、賑やかで楽しいお話になっていますが、逆にそれがまとまりをなくしている感も。それがいいっちゃいいんですけど。
作品DATA
■著者:原明日美
■出版社:講談社
■レーベル:KCなかよし
■掲載誌:なかよし(2009年5月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税
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