
子育ては
手間がかかればかかるほど
子供をかわいく思えるんだから
■10巻発売、ついに二ケタにのりました。
軽度の知的障害を持ち、支援施設に通っている柚子。ある日、仕事仲間である草介が亡くなったとの知らせが入り、家族と一緒に病院へ。草介の遺体を見て、柚子は取り乱し、泣きわめく。そのまま気を失い、その場にいた医者に介抱されるが、その時に柚子の妊娠が判明。父親は、亡くなった草介だという。突然の出来事にショックを受けた家族は、もちろん出産には大反対。しかし柚子と草介が、心から愛し合い授かった命であることを知り、困難は覚悟で出産を受諾。こんなに深い、親子の愛があります。困難に負けずに、自分らしく真っ直ぐにいきていく柚子の姿を描いた、感動ストーリー!
香里奈さん主演でドラマ化もされました、軽度の知的障害を持つヒロインが出産し、困難にも負けず懸命に育児をしていくというお話でございます。私はドラマから入ったのですが、香里奈さんが意外にも役にハマっていたので驚いたことを覚えています。あと平岡祐太はイイ男。原作はドラマとは違い、柚子の家族は皆元気。お父さんも健在です。知的障害を持った上で、子育てしていく難しさ(スキルの問題もあるし、世間的な逆風もある)に、真っ正面から向き合い、努めて明るく前向きに頑張る家族と柚子の姿を描いていきます。問題提起という側面は薄く、あくまで物語を作っていく上での企画でしかないわけですが、その分描かれる感情や問題は、私たちにも通じる非常に身近な部分。どう考えるかではなく、何を感じたかが重要なのであります。

何の知識もない上に、飲み込みの遅い柚子には、周囲の人間の手厚いサポートが不可欠。しかも納得するように教えていかなくてはいけないので、大変。
困難にぶち当たりまくる柚子ですが、その性格は常に前向きで、非常に明るいです。当然泣いたりワガママ言ったりもするのですが、それを引きずらないところが素敵。全体的に作品が明るい雰囲気になっているのは、この柚子の明るい性格に依るところが大きいのでしょう。周囲の人達はみな親切で、全力で彼女をサポートするわけですが、それは決して出来すぎた話というわけではなく、柚子がこういう性格だからこそ、みんなサポートしてあげたくなるんじゃないのかなぁ、という気がしてなりません。また「親子の愛」がテーマとして描かれているのですが、これはなにも柚子とひまわりだけに限ったことではなく、柚子とその母親に関しても同じ。子育てを通じて柚子はまた成長し、それを母親が支えることで、さらに二人の間の愛が深まっていくのです、きっと。
私は子育てしたことないですが、子持ちの友人などを見ていると、知的障害を持っていようとなかろうと、子育てには周囲の人間の協力が必要不可欠なんだなぁ、と強く感じます。「知的障害者の子育て漫画」みたいに思われているかもしれませんが、核として描かれているのは、実は子育てでいちばん大切なことなのかもしれません。お涙頂戴上等、再三になりますが、どう考えるかではなく、どう感じたかが重要なのですじゃ。
【男性へのガイド】
→ノリそのものは女性向け漫画特有のそれ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→なんだかんだで読み進めてしまうし、面白い。ドラマも漫画も楽しんで観ておいて、お薦めしないわけにもいかないでしょう。
作品DATA
■著者:愛本みずほ
■出版社:講談社
■レーベル:KC BE・LOVE
■掲載誌:BE・LOVE
■既刊10巻
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