
重ねた唇から
甘い君の恋心が伝わる
薄紅色の
恋心
■3巻発売です。
『待ち人来る』お正月のおみくじではそう出たはずなのに、やってきたのはいやらしい暴君…。事の始まりは3学期の始め。おみくじで大吉が出て浮かれていた高野菜々美は、その勢いに乗って、憧れの先生・城崎が眠っている隙に、そっとキスをする。ところがその相手は、憧れの城崎ではなく、同じクラスの秀才・織田だった!「誰にも言わないで!」そう懇願する菜々美に対し、織田は「俺の言いなりになる」ことを条件に出す。以来、暴君と主従の関係が続いているのだけど…!?
珍しくティーンズラブ作品のレビューでございます。知らない方に説明しておくと、ティーンズラブというのは、少女マンガ×エロマンガみたいな、十代をターゲットにした性描写ありの作品群の事を指します。この作品も、そんな中の一つ。ヒロインは、同じ学校の教師に憧れを持つ、ごく普通の女子高生・高野菜々美。そんな彼女が、先生と間違えて同じクラスの男子・織田くんにキスをしてしまうことから、お話は始まります。「誰にも言わない代わりに、自分の言いなりになれ」との要求を、渋々のむ菜々美。見かけによらず押しの強い織田くんと、見かけ通り押しに弱い菜々美ということで、織田くんの行動は徐々にエスカレート。ティーンズラブ作品ですから、当然それは、エロ方面にも及んできます。と言っても、ヒロインの気持ちは先生にあることを知っている織田くん、手を出すといってもペッティング止まりで、最後までは至りません。じらし…とも取ることが出来ますが、描き方的には、織田くんの律儀さを表す描写。菜々美はやがて先生に失恋するのですが、その穴を埋めたのが(性的な意味でなくね、念のため)、他でもない織田くんだった…という流れ。

ただの少女マンガではなく、ピュア路線の少女マンガ色が出ているのは、このヒロイン一人の力によるもの。なんかわからないですが、かわいいです。
要は少女マンガチックなピュアストーリーに、エロを組み合わせたもの。エロを無くせば、ど真ん中王道の少女マンガという感じです。そういう意味では、非常に親しみやすい話の流れといえるかもしれません。織田くんも、鬼畜暴君なのですが、見ためはどう良く見積もっても中の上ぐらいで、その辺もまた可愛らしく、鼻にかからないです。ヒロインも明るくて可愛いですし、結構このカップル好きです、私は。
ティーンズラブですから当然エロはございます。ページ数も、少女マンガの比にならないほど多いです。ただエロ漫画的な「抜ける」エロではなく、エロメインといってもあくまでそれは「キレイなセックス」というライン(女性がどう感じてるのかは知らないけど、男目線的には)。それでも少女マンガに比べたら、リビドーをより感じられるように描かれているので、個人的にはこちらのほうが好き。またストーリーとエロ、どちらか一方が、というわけではなく、「ストーリーを活かすエロ」と「エロを活かすストーリー」のどちらにも取れるような、非常にバランス感の良い描かれ方がされています。
ただエロ描写に関しては、この作品に限らず、巻を重ねるにつれてどうしてもマンネリ感が出てきてしまうように思います。あくまでラインは「キレイなセックス」であって、そうなるともうセックスで広がりを見せることができないというか。エロ漫画の場合、「キレイ」とは逆に逆に進んでいっている感じ。ただこちらの場合、ストーリーで幅を持たせることが出来るから、なんとかなっちゃうんですけどね。
【男性へのガイド】
→ティーンズラブの世界を見る入り口としては、結構良い作品かもしれないです。明るく楽しい作風ですし、ストーリーがまず易しいので。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→や、結構楽しんで読んでいる自分がいるという。この作品のエロは、いいエロだと思います、はい。さすがにオススメはせんけども。
作品DATA
■著者:かねだなつみ
■出版社:秋田書店
■レーベル:恋愛MAX
■掲載誌:恋愛チェリーピンク(2008年1月号~)
■既刊3巻
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