
「人は死んだら星になるって言うけど、オレは月になるから。
あ、『なる』じゃなくて『行く』ってのが正しいかな」
「なんで月なの?」
「星はすげー遠いけど、月は近くて寂しくないだろ?」
■みつきかこ先生10冊目のコミックス。短編3つと、「ぜんぶ、はじめて。」の番外編を収録。とりあえず表題作「月のワルツ」をご紹介。
時は昭和の初め。幼い頃から一緒だった、使用人・京伊知朗に密かに想いを寄せるなり子。しかし、身分が違う。どんなに願っても、決して結ばれることはない。端から見ると、仲の良い兄妹のようなふたりだったが、日中戦争の勃発により一族は没落の危機に。一族を救うため、なり子は嫁に出されることになってしまう…。
連載2作挟んでの短編ということで、安定感は抜群です。3編のうち「いつかの月であいましょう」と「月のワルツ」は、病院・月・月下美人(花の名前です)という共通のモチーフを使用。連作っぽくなっています。感動系の前2話に対して、最後の「星雪夜」は、スカッと爽やかな恋愛モノ。どのお話も、キレイ。なんというか、みつき先生の作品を喩えるにはこの形容詞が一番しっくりくるような気がします。ちなみに上記の台詞抜粋は「いつかの月であいましょう」より。
前に書いたように、安定感はあります。ただ、突き抜けるところまでいかない。ポジション的に非常に微妙というか。コミックスも10冊超えましたし、そろそろ確固たるポジションを確保したいところ。次の連載が正念場になるんじゃないでしょうか?
【オトコ向け度:☆ 】
→男性向けの要素は少ない気がします。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→良作短編集。巧いですね。次回の連載に期待です。
作品DATA
■著者:みつきかこ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ(2006年1月号,2008年3月号),デラックスベツコミ(2008年秋の超!特大号),
■全1巻
■定価:400円+税
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