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2009.09.21
07186884.jpg樫の木ちゃん「株式会社ラブコットン」(1)


あんたたちがいれば必ず成功する
その舞台をあたしが作る



■6巻発売、完結しました。
 放浪癖のある父に、散在の気のある母を持つ金星成は、そのせいで超極貧生活を送っていた。そんなある日、両親はそろってアフリカへ旅立ってしまう。弟と共に日本に残ることを選んだ成は、幼い弟を連れて、祖母の家へ。「養育費・生活費は振り込むから」とは言われたものの、その額に愕然、これでは生活できまいと、自らお金を稼ぐことを考え始める。そんな彼女のめに留まったのが、祖母の経営している傾きかけのオンボロブティック。ここを改装して、若者向けの店にすれば、儲かるのでは…。生活費を稼ぐため、成は仲間を集めて、ファッションブランドを立ち上げることにしたが…!?

 生活費を稼ぐため、仲間を集めて、若者向けファッションブランドを立ち上げ奮闘する高校生を描いた作品です。ヒロインは、成績優秀ながら自己中心的で、苦労性が染み付いている女子高生・金星成。そんな彼女が何を思ったのか、生活費を稼ぐために、ファッションブランドの立ち上げという道を選択します。しかし成は、ファッションセンス皆無。そこで、校内の実力者たちをスカウトすることに。モデル&売り子として早乙女鈴を、服職人(縫製)として中野君を、そしてデザイナー兼パタンナーとして仁科未来をそれぞれスカウトし、新ブランド「ラブコットン」を立ち上げます。


ラブコットン
これもまたリーダーシップ。自己中ですが、人一倍責任感が強いので、みんなついてくる。


 服飾をテーマにした少女マンガってのは結構多いのですが、この作品の特徴は、ヒロインにファッションセンスがなく、あくまで裏方に徹して、服とブランドを売ることに集中するという所にあります。服を作るのはヒロイン以外で、それぞれの仕事が完全に独立している
ところが面白いです。また男女比も、男2人・女2人の1:1で、女子濃度強めってわけではありません。こんなお話ですから、当然リアリティに欠ける部分はあるのですが、それでも描くべきところはシビアに描いているので、現実離れしているという感覚はあまり受けません。天才揃いで頑張れば、ここまで行けるんじゃないかな、なんてちょっと思ってしまったり。

 良くも悪くも、テンション高めで勢いに溢れているこの雰囲気を作っているのは、まぎれもなくヒロイン。その身勝手さで、苛立ちを募らせつつも、同時に痛快さと爽快感ももたらすという、不思議な存在。とりあえず、ヒロインを受け入れられるかがこの作品を楽しむ上でのキーになりそう。メイン読者層には受けそうで、6巻まで出たってのは納得。


【男性へのガイド】
→男性受けする要素は少なめだと思います。嫌う要素もそんなに無いと思うけど。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→明るさ溢れる低年齢向けの良作。でも鈴木清剛の「ロックンロールミシン」とか読んでると、服作って売るのってものすごい大変で、こんな簡単には行かないんだろうなぁ。ま、リアルを伝えることがこの作品の命題ではないので、これでいいのか。


作品DATA
■著者:樫の木ちゃん
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックス
■掲載誌:りぼん(平成19年3月号~平成21年2月号)
■全6巻

■購入する→Amazonbk1

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コメント

これは
私の一番好きなマンガです
大好きです
From: k * 2011/01/07 21:59 * URL * [Edit] *  top↑

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