
どうか
二人で笑って
「おはよう」と言えますように
■キレやすい性格が災いして、なかなか彼氏が出来ない亜衣子と、中学の頃から、男をとっかえひっかえの愛子。同じ名前の二人は、幼稚園の頃から一緒に過ごしてきた大親友。同じく幼なじみの男の子・力くんも加え、3人で送る毎日は、本当に楽しい。そんなある日、亜衣子は電車で出会った男の子に、一目惚れをする。それ以来、愛子との関係がなんとなくギクシャクし始めて…!?
久々の過去作レビューです。というわけで、またタアモ先生だよ!いや、なんていうか、レビューするのに丁度良いっていうか、好きっていうか、大好きっていうか、まぁそんな感じなのです。タアモ先生といえば、読切り。この作品も、連作短編集という形で、内容的に関連のある読切りが3編+シリーズ外の読切り1編が収録されています。メインとなるのは、同じ名前の幼なじみのふたり。片方はキレやすい性格の男勝りで、もう一方は男をとっかえひっかえする恋愛体質という、正反対の気質の持ち主。そんなある日、男勝りの方(亜衣子)が、電車の中で出会った男の子に一目惚れ。加速していく恋心と同時に、この男の子を恋愛体質の子(愛子)に会わせてしまったら、奪われてしまうんじゃないかと悩むように。取られる怖さと、そんなことを考えてしまった自分の情けなさ…二つのネガティブな感情に、ヒロインの亜衣子は押し潰されそうになります。

こっ恥ずかしいといえば、確かにこっ恥ずかしいのですが、それが良いんです。それに耐えうるだけの物語も描かれていますし。
恋愛軸と見せかけて、本当に描こうとしているのは女同士の友情…というよりも、それすら越えた、幼なじみ同士の繋がりの強さみたいなもの。ただそれを真っ直ぐに描かず、恋愛というフィルタを通して描いている所が、秀逸。恋愛と友情の2つのテーマが、同じウェイトで描かれていて、しかもどちらも疎かにならずしっかりバランスを保っているという。一時期スランプだったタアモ先生ですが、しっかり持ち直しましたね。「少女のメランコリィ」でも友情軸で描いた話があったのですが、あちらも良かったなぁ。小学館において、友情軸で描ける先生って少ない(というか描かせてもらえない?)ので、こういう話が読めるってのは嬉しいです。
3編のうち、2編はその幼なじみそれぞれの視点で展開。そしてもう1編は、その幼なじみのクラスメイトのお話が描かれます。そちらは女の子視点ではなく、男の子視点。またシリーズ外の読切りは、ファンタジー要素のあるお話。友情描写+男の子視点+ファンタジーと、これ1冊でタアモ先生の魅力が堪能できる作品になっています。「ライフル少女」なんてちょっと変わったタイトルですが、銃器が出てくるようなアブナイ内容ではありませんので、ご安心を。
■作者他作品レビュー
タアモ「お願い、せんせい」
タアモ「初恋ロケット」
タアモ「吾輩は嫁である」
【男性へのガイド】
→タアモ好きの男性は多いはず。これもオススメです。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→タアモ先生の魅力を存分に味わうことの出来る良作。作家さんとしてのキャリアが安定感として出てきており、安心して読むことができます。
作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:デラックスベツコミ(2008年初夏の超!特大号,夏の超!特大号)
■全2巻
■価格:400円+税
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